Microsporum canis によるケルスス禿瘡の1例

症例:4歳男児。千葉県在住。既往歴・家族歴:特記すべきこと。現病歴:平成17年7月中旬に頭部に膿疱、痂皮を伴う肉芽腫性病変が出現。徐々に拡大し脱毛が進行した。近医にて抗生物質処方されるも軽快せず、同年8月22日当科受診となった。なお7月はじめに飼い猫の耳に脱毛を認め、動物病院で治療していた。初診時現症:頭頂部に黒褐色の厚い痂皮が付着する径4cm大の肉芽腫性病変を認め、毛髪は容易に抜けた。真菌学的検査:痂皮のKOHによる直接鏡検では真菌要素多数認め、毛髪では毛外性小胞子菌性寄生を認めた。サブローブドウ糖斜面培地で培養したところ、表面白色綿毛状、裏面黄褐色のコロニーが得られた。スライドカルチャーで...

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Bibliographic Details
Published in日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 p. 83
Main Authors 河井, 正晶, 千見寺, 貴子, 鎌野, マヤ, 高森, 建二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医真菌学会 2006
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ISSN0916-4804
DOI10.11534/jsmm.50.0.83.0

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Summary:症例:4歳男児。千葉県在住。既往歴・家族歴:特記すべきこと。現病歴:平成17年7月中旬に頭部に膿疱、痂皮を伴う肉芽腫性病変が出現。徐々に拡大し脱毛が進行した。近医にて抗生物質処方されるも軽快せず、同年8月22日当科受診となった。なお7月はじめに飼い猫の耳に脱毛を認め、動物病院で治療していた。初診時現症:頭頂部に黒褐色の厚い痂皮が付着する径4cm大の肉芽腫性病変を認め、毛髪は容易に抜けた。真菌学的検査:痂皮のKOHによる直接鏡検では真菌要素多数認め、毛髪では毛外性小胞子菌性寄生を認めた。サブローブドウ糖斜面培地で培養したところ、表面白色綿毛状、裏面黄褐色のコロニーが得られた。スライドカルチャーでは8∼10個の房室を有する先端の尖った紡錘形の大分生子を多数認めた。以上より本症例をMicrosporum canis によるケルスス禿瘡と診断した。治療と経過:イトラコナゾール50mg/日内服開始し、1ヶ月で鏡検陰性化し、発赤、痂皮は著明に減少した。2ヶ月で培養陰性化し、軟毛再生が顕著に認められるようになったため、イトラコナゾール50mgを週2回に減量した。4ヶ月後には頭髪ほぼ正常な状態になった。感染経路:飼い猫は生後1∼2ヶ月の子猫で、耳に脱毛を認め動物病院で抗真菌薬の投与を受けていた。この猫からの感染が考えられた。
Bibliography:P70
ISSN:0916-4804
DOI:10.11534/jsmm.50.0.83.0