急速な経過をたどった原因不明Hepatic veno-occlusive disease(HVOD)の1例

症例は62歳男性.主訴は発熱,倦怠感,腹部膨満.20XX年6月下旬より主訴を認め近医を受診し,抗生剤や解熱剤の内服加療で軽快した.7月初旬に症状が再燃し,胆嚢炎を疑い前医にて保存的加療を行ったが改善しなかった.精査加療目的に8月中旬当院転院時著明な凝固異常と黄疸および肝胆道系酵素の高値を認めた.造影CTや血管造影検査では肝静脈末梢の閉塞が疑われ,経肝静脈肝生検にてhepatic veno-occulusive disease(HVOD)と診断した.治療に難渋し,肝不全の急速な進行,食道静脈瘤破裂のため9月下旬に永眠された.骨髄移植や化学療法等の病歴を認めないHVODはきわめてまれであるが,腹水...

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Published in肝臓 Vol. 55; no. 5; pp. 245 - 253
Main Authors 真野, 浩, 田所, 慶一, 吉田, はるか, 田邊, 暢一, 千田, 信之, 佐藤, 明弘, 鵜飼, 克明, 鈴木, 博義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2014
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.55.245

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Summary:症例は62歳男性.主訴は発熱,倦怠感,腹部膨満.20XX年6月下旬より主訴を認め近医を受診し,抗生剤や解熱剤の内服加療で軽快した.7月初旬に症状が再燃し,胆嚢炎を疑い前医にて保存的加療を行ったが改善しなかった.精査加療目的に8月中旬当院転院時著明な凝固異常と黄疸および肝胆道系酵素の高値を認めた.造影CTや血管造影検査では肝静脈末梢の閉塞が疑われ,経肝静脈肝生検にてhepatic veno-occulusive disease(HVOD)と診断した.治療に難渋し,肝不全の急速な進行,食道静脈瘤破裂のため9月下旬に永眠された.骨髄移植や化学療法等の病歴を認めないHVODはきわめてまれであるが,腹水,黄疸,疼痛を伴う肝腫大といった3徴を認めた際には,HVODを念頭に早期診断,治療を行うことが重要と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.55.245