都市圏周辺のオゾン濃度変化とNOタイトレーション(首都圏を中心に)

近年の光化学オキシダント (Ox) 濃度変化をめぐる事実関係の解明を目的として、まず首都圏を擁する関東の臨海部から山間部にかけて一般環境常時監視局を抽出し、2000~2005年と2010~2015年の2期の間のOxと窒素酸化物 (NOx) の濃度変化、およびNOxから推算したNOタイトレーション反応 (Titr (O3)) の変化を、特に夏と春に注目して調べた。夜間のOx濃度はおおむね0–10 ppbの範囲で増加し、各地点でTitr (O3) の減少と良好な対応関係を示した。それが日積算では夏の昼間のOxピーク濃度改善の効果をかき消し、広範囲で逆に増加させていた。なお、春には夜間のOxの増加幅...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 54; no. 5; pp. 185 - 193
Main Author 吉門, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 05.09.2019
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Summary:近年の光化学オキシダント (Ox) 濃度変化をめぐる事実関係の解明を目的として、まず首都圏を擁する関東の臨海部から山間部にかけて一般環境常時監視局を抽出し、2000~2005年と2010~2015年の2期の間のOxと窒素酸化物 (NOx) の濃度変化、およびNOxから推算したNOタイトレーション反応 (Titr (O3)) の変化を、特に夏と春に注目して調べた。夜間のOx濃度はおおむね0–10 ppbの範囲で増加し、各地点でTitr (O3) の減少と良好な対応関係を示した。それが日積算では夏の昼間のOxピーク濃度改善の効果をかき消し、広範囲で逆に増加させていた。なお、春には夜間のOxの増加幅がTitr (O3) の減少幅を上回る傾向があり、その差は最大でも5 ppb以下であったが、春のバックグラウンドO3が増加した可能性を示唆した。続いて近畿、愛知、福岡の都市圏でも類似の調査を行った結果、昼間のピーク濃度にも夜間濃度にも2期間の増減に多少の地域差はあるものの、春の夜間のOx増加がTitr (O3) の減少幅を上回る傾向は関東と同様であった。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.54.185