膵癌早期診断を目指した新規バイオマーカーの進歩と今後の展望

日本における膵癌の死亡数は全ての癌の中で4番目に多く,さらに増加傾向にある.5年相対生存率が10%に満たない予後不良な膵癌は,有効なスクリーニング法が未だに確立されていない.Stage 0または10mm以下で発見された場合には長期生存が期待できるが,CA19-9など従来の腫瘍マーカーは検出精度が低く,早期発見のためには新たなバイオマーカーが必要とされている.Liquid biopsyは体液中に存在する腫瘍由来の分子を検出・解析する診断方法であり,血液中に存在する癌細胞由来DNAの変異検出やメチル化解析,癌由来exosomeに内包されているmiRNAの解析などが含まれる.近年これらの手法による,...

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Published in膵臓 Vol. 39; no. 4; pp. 255 - 262
Main Authors 小岩井, 明信, 廣田, 衛久, 高須, 充子, 佐藤, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 30.08.2024
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Summary:日本における膵癌の死亡数は全ての癌の中で4番目に多く,さらに増加傾向にある.5年相対生存率が10%に満たない予後不良な膵癌は,有効なスクリーニング法が未だに確立されていない.Stage 0または10mm以下で発見された場合には長期生存が期待できるが,CA19-9など従来の腫瘍マーカーは検出精度が低く,早期発見のためには新たなバイオマーカーが必要とされている.Liquid biopsyは体液中に存在する腫瘍由来の分子を検出・解析する診断方法であり,血液中に存在する癌細胞由来DNAの変異検出やメチル化解析,癌由来exosomeに内包されているmiRNAの解析などが含まれる.近年これらの手法による,早期膵癌,さらにはIPMNなど膵癌前駆病変の検出における有用性が相次いで報告されている.しかし,膵癌のマススクリーニングを実施する場合,高精度かつ安価な検査法が求められるため,さらなる技術革新が必要である.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.39.255