Bronchus-associated lymphoid tissue(BALT)リンパ腫と再評価された下部気管の隆起性病変の1例
背景.気管・気管支原発の悪性リンパ腫の報告は比較的稀である.症例.60歳代女性.子宮頸癌およびトローザ・ハント症候群の既往を有する.子宮頸癌術後経過観察のCTにて両側肺多発小結節を指摘された.3カ月後のCTで上記病変に加え気管左側壁に隆起性病変が再確認され,気管支鏡検査を施行.気管左側壁のポリープ状粘膜隆起性病変は,生検にてリンパ濾胞の反応性増生と評価された.その後も定期的にCT検査が施行されたが,4年間病変に変化は認めなかった.発見から5年後,生検材料に関して別の病理医に再評価を依頼したところ,bronchus-associated lymphoid tissue(BALT)リンパ腫と診断さ...
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Published in | 気管支学 Vol. 41; no. 6; pp. 596 - 601 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
25.11.2019
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Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.41.6_596 |
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Summary: | 背景.気管・気管支原発の悪性リンパ腫の報告は比較的稀である.症例.60歳代女性.子宮頸癌およびトローザ・ハント症候群の既往を有する.子宮頸癌術後経過観察のCTにて両側肺多発小結節を指摘された.3カ月後のCTで上記病変に加え気管左側壁に隆起性病変が再確認され,気管支鏡検査を施行.気管左側壁のポリープ状粘膜隆起性病変は,生検にてリンパ濾胞の反応性増生と評価された.その後も定期的にCT検査が施行されたが,4年間病変に変化は認めなかった.発見から5年後,生検材料に関して別の病理医に再評価を依頼したところ,bronchus-associated lymphoid tissue(BALT)リンパ腫と診断された.再評価後も,CTにて気管および肺末梢病変に変化がないことを確認している.BALTリンパ腫は臨床的に進行が年単位に変化する低悪性度B細胞性リンパ腫であるが,本症例では臨床的・画像的経時変化は認めなかった.ステロイドの偶発的な使用が病変の進行を妨げた可能性がある.結論.気管内に突出するリンパ組織の評価は,時に反応性リンパ濾胞過形成との鑑別が難しい.慎重な臨床的経過観察,および正確な病理学的評価が重要であることを再認識した. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.41.6_596 |