細胞の付着と増殖に及ぼす易動性のある分子鎖の効果
エチレンービニルアルコール共重合体フィルムを素材として, その表面に易動性の大きな分子鎖を結合させたもの34種類を合成し, その上で上皮性細胞の培養を行い, 細胞の付着や増殖に及ぼす易動性のある分子鎖の効果を検討した. ガラス転移温度から考えて易動性の大きな分子鎖でも, ポリオキシプロピレン, ポリオキシテトラメチレン, ポリジメチルシロキサンのように疎水性で水不溶性のものだけでは, 細胞の付着や増殖にはほとんど影響は認められなかった. ポリオキシエチレン鎖のように水溶性で排除体積効果が生ずるような, 水中での易動性の大きな分子鎖を含んでいる時のみ大きな影響があり, 細胞は付着しにくくなった....
Saved in:
Published in | 高分子論文集 Vol. 42; no. 11; pp. 713 - 718 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 高分子学会
01.11.1985
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | エチレンービニルアルコール共重合体フィルムを素材として, その表面に易動性の大きな分子鎖を結合させたもの34種類を合成し, その上で上皮性細胞の培養を行い, 細胞の付着や増殖に及ぼす易動性のある分子鎖の効果を検討した. ガラス転移温度から考えて易動性の大きな分子鎖でも, ポリオキシプロピレン, ポリオキシテトラメチレン, ポリジメチルシロキサンのように疎水性で水不溶性のものだけでは, 細胞の付着や増殖にはほとんど影響は認められなかった. ポリオキシエチレン鎖のように水溶性で排除体積効果が生ずるような, 水中での易動性の大きな分子鎖を含んでいる時のみ大きな影響があり, 細胞は付着しにくくなった. ポリオキシエチレン鎖に疎水性基のついた分子鎖の場合には, その両者のバランス及び疎水性基の種類が大きく影響した. この場合においても, ベンゼン環の細胞付着率増加効果が認められた. |
---|---|
ISSN: | 0386-2186 1881-5685 |
DOI: | 10.1295/koron.42.713 |