他疾患にて経過観察中に発見された肺結核に関する臨床的検討

[目的] 他疾患で他院の外来もしくは入院経過観察中に肺結核と診断しえた症例を臨床的に検討し, 過去の問題点と今後の課題を検討する。 [対象] 対象は, 過去10年間に当関連施設で経験した肺結核508例の中から, 他院の外来もしくは入院経過観察中に肺結核と診断しえた65例を対象とした。 [結果] 外来で経過観察中は43例に対し, 入院中は22例であった。基礎疾患の内訳は, 呼吸器疾患以外では悪性疾患が最も多く, 次いで糖尿病, 消化器疾患, 精神神経疾患の順に多くみられた。発見動機としては, 自覚症状がなく, 定期的にとった胸部X線で的確に診断しえた症例も21例あり, 肺結核全体に比して有意に高...

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Published in結核 Vol. 79; no. 1; pp. 1 - 6
Main Authors 松島, 敏春, 原, 義人, 二木, 芳人, 沖本, 二郎, 宮下, 修行, 小橋, 吉博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 15.01.2004
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku1923.79.1

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Summary:[目的] 他疾患で他院の外来もしくは入院経過観察中に肺結核と診断しえた症例を臨床的に検討し, 過去の問題点と今後の課題を検討する。 [対象] 対象は, 過去10年間に当関連施設で経験した肺結核508例の中から, 他院の外来もしくは入院経過観察中に肺結核と診断しえた65例を対象とした。 [結果] 外来で経過観察中は43例に対し, 入院中は22例であった。基礎疾患の内訳は, 呼吸器疾患以外では悪性疾患が最も多く, 次いで糖尿病, 消化器疾患, 精神神経疾患の順に多くみられた。発見動機としては, 自覚症状がなく, 定期的にとった胸部X線で的確に診断しえた症例も21例あり, 肺結核全体に比して有意に高率であった。しかし, 一方では悪性疾患や精神神経疾患で他院へ入院経過観察中に結核に対する注意が欠けていたために肺結核を合併し, 診断の遅れから結核菌塗抹陽性をきたし, 予後不良となった症例も多く含まれていた。 [考察] 呼吸器専門医以外の医師も肺結核の合併に注意する傾向がみられてきていたが, 一部では院内感染上問題となる塗抹陽性例が悪性疾患や精神神経疾患を診療している特定病院では不十分なところもあり, 今後もなお肺結核に対する教育指導が必要と考えられた。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku1923.79.1