Vancomycinのin vitro抗菌力の検討

グリコペプタイド系抗生物質vancomycinの抗菌スペクトル, 臨床分離株 (13菌種, 802株) に対するMIC, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対するMBCと生菌数におよぼす影響等を測定し, 対照薬 (amoxicillin, cefazolin, flomoxef, imipenem, minocyclineおよびofioxacin) と比較した。その結果, 本剤はグラム陽性細菌にのみ有効で広範囲なグラム陽性細菌 (ブドウ球菌, 連鎖球菌, 腸球菌およびグラム陽性の嫌気性菌等) の臨床分離株に0.05~12.5μg/mlのMICを示し, 幾何平均MIC値は, 0.17~1.55μg/...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 40; no. 5; pp. 581 - 591
Main Authors 小松, 良英, 近藤, 理枝, 永田, 弘, 東山, 伊佐夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1992
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.40.581

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Summary:グリコペプタイド系抗生物質vancomycinの抗菌スペクトル, 臨床分離株 (13菌種, 802株) に対するMIC, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対するMBCと生菌数におよぼす影響等を測定し, 対照薬 (amoxicillin, cefazolin, flomoxef, imipenem, minocyclineおよびofioxacin) と比較した。その結果, 本剤はグラム陽性細菌にのみ有効で広範囲なグラム陽性細菌 (ブドウ球菌, 連鎖球菌, 腸球菌およびグラム陽性の嫌気性菌等) の臨床分離株に0.05~12.5μg/mlのMICを示し, 幾何平均MIC値は, 0.17~1.55μg/ml, MIC90値は, 0.39~3.13μg/mlを与え, 総じて優れたin vitro抗菌力を示した。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を始めとする各種の薬剤耐性株に強い抗菌力を維持しており, その上メチシリン耐性黄色ブドウ球菌にMIC値に近似したMBC値を保ち, 殺菌速度は遅いがflomoxefやimipenemより明らかに強い殺菌力を示し, 耐性化しにくいことも判明した。欧米で問題化しているPlasmidが介在する本剤への高度耐性化の兆しは我が国ではまだ認められなく, 腸球菌の一部でMICが6.25~12.5μg/ml程度の低度耐性株が少数検出されるに留まっていた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.40.581