局所陰圧閉鎖療法による指尖部損傷の治療 治療期間,指尖部機能,指尖部形態の評価

骨露出のある指尖部損傷に対し,露出骨を切除せず局所陰圧閉鎖療法(以下 NPWT )を併用する方法で,NPWT を併用しない場合と比較して治療期間が短縮するか,また治療後の結果が機能面・整容面で満足できるものであるかを検討した。全 8 症例に対し,平均 17.9 日間 NPWT を行い,その後の軟膏療法(平均 35.9 日)により合計 53.8 日で創閉鎖が得られ,従来法よりも治療期間を短縮することができた。NPWT 中も ROM 訓練を継続でき,可動域制限を最小限に留めることができた。受傷後 6ヵ月の指尖部の S-2PD は 3.8mm,M-2PD は 2.6mm と正常知覚を獲得しており,皮...

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Published in創傷 Vol. 5; no. 3; pp. 137 - 144
Main Authors 近藤, 昭二, 山口, 梨沙, 桑澤, 貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本創傷外科学会 2014
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ISSN1884-880X
DOI10.11310/jsswc.5.137

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Summary:骨露出のある指尖部損傷に対し,露出骨を切除せず局所陰圧閉鎖療法(以下 NPWT )を併用する方法で,NPWT を併用しない場合と比較して治療期間が短縮するか,また治療後の結果が機能面・整容面で満足できるものであるかを検討した。全 8 症例に対し,平均 17.9 日間 NPWT を行い,その後の軟膏療法(平均 35.9 日)により合計 53.8 日で創閉鎖が得られ,従来法よりも治療期間を短縮することができた。NPWT 中も ROM 訓練を継続でき,可動域制限を最小限に留めることができた。受傷後 6ヵ月の指尖部の S-2PD は 3.8mm,M-2PD は 2.6mm と正常知覚を獲得しており,皮弁法と比較して良好であった。整容面では,指の長さを温存でき,爪甲の再生も促され,指尖部はふっくらとなめらかな形を獲得することができた。本法はドナーを必要とせず,健常指への侵襲もなく,治療者側の特殊技能を必要としないことも大きな利点である。
ISSN:1884-880X
DOI:10.11310/jsswc.5.137