ダイズ(Glycine max (L.)Merrill)栽培にリビングマルチとして用いる オオムギ(Hordeum vulgare L.)およびコムギ(Triticum aestivum L.)の 生育に気象要因が与える影響―気温と日射量を中心に

リビングマルチは環境保全や省力的な雑草防除として注目されているが,実用化や普及のためには事前にリビングマルチ−ダイズ栽培の適地および適期を判定することが重要である.そこで,リビングマルチの生育予測モデル作成のための基本的知見を得るため,リビングマルチとして用いるオオムギおよびコムギの現存量の推移を圃場試験と人工気象室を用いたポット試験によって調査し,現存量と気温,日射および日長の関係について解析した.圃場試験の結果,全品種とも播種時期が遅くなるほど最大乾物重は小さくなり,晩播では雑草防除に必要な生育量を得られなかった.また,いずれの播種期でもコムギ品種の方がオオムギ品種よりも生育が良好であり,...

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Published in日本作物学会紀事 Vol. 81; no. 1; pp. 18 - 26
Main Authors 好野, 奈美子, 小林, 浩幸, 内田, 智子, 島崎, 由美, 敖, 敏, 飛奈, 宏幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 2012
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Summary:リビングマルチは環境保全や省力的な雑草防除として注目されているが,実用化や普及のためには事前にリビングマルチ−ダイズ栽培の適地および適期を判定することが重要である.そこで,リビングマルチの生育予測モデル作成のための基本的知見を得るため,リビングマルチとして用いるオオムギおよびコムギの現存量の推移を圃場試験と人工気象室を用いたポット試験によって調査し,現存量と気温,日射および日長の関係について解析した.圃場試験の結果,全品種とも播種時期が遅くなるほど最大乾物重は小さくなり,晩播では雑草防除に必要な生育量を得られなかった.また,いずれの播種期でもコムギ品種の方がオオムギ品種よりも生育が良好であり,一方,オオムギ品種の方がコムギ品種よりも早く枯死した.低温下におけるポット試験の結果,コムギだけでなくオオムギも収穫期までに枯死しなかった.次に,圃場試験およびポット試験を含めた栽培試験データを用いて,気温と日射によってどの程度までムギ類現存量を説明できるかを相関と重回帰分析で検証した.その結果,オオムギは気温によって生育に大きな影響を受けるため,得られる現存量を気温と日射量によって26~41%説明できることが明らかとなった.一方,コムギはオオムギに比べて気温と日射によって説明できる割合が小さく,推定精度を上げるためには土壌条件も検証する必要がある.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.81.18