経鼻挿管時に気管チューブが深頸部組織に迷入した1症例

経鼻挿管時に気管チューブが深頸部に迷入した症例を経験した。症例は50歳代女性,抜歯術のため全身麻酔・経鼻挿管が予定された。右鼻孔より気管チューブを挿入したが咽頭内にチューブ先端が見つからず,右前頸部にチューブ操作に伴って変化する膨隆を認め,迷入を疑って抜去した。左鼻孔経由に変更した経鼻挿管は成功し,手術は無事に施行された。術直後の軟性喉頭鏡では明らかな粘膜損傷は見つからなかったが,CTでは舌骨付近から深頸部までの連続した気腫を認め,右鼻孔の挿管操作時に気管チューブが迷入した結果と判断した。その後,迷入の合併症を念頭に絶飲食と抗菌薬投与を行ない,入院期間の延長を要したが経過良好で無事退院した。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 74; no. 2; pp. 111 - 116
Main Authors 竹内 直子, 大泉 祐樹, 永田 千普, 稲垣 麻友, 秋丸 慎太郎, 大矢 真, 有馬 一, 衣笠 梨絵, 関谷 憲晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.74.111

Cover

More Information
Summary:経鼻挿管時に気管チューブが深頸部に迷入した症例を経験した。症例は50歳代女性,抜歯術のため全身麻酔・経鼻挿管が予定された。右鼻孔より気管チューブを挿入したが咽頭内にチューブ先端が見つからず,右前頸部にチューブ操作に伴って変化する膨隆を認め,迷入を疑って抜去した。左鼻孔経由に変更した経鼻挿管は成功し,手術は無事に施行された。術直後の軟性喉頭鏡では明らかな粘膜損傷は見つからなかったが,CTでは舌骨付近から深頸部までの連続した気腫を認め,右鼻孔の挿管操作時に気管チューブが迷入した結果と判断した。その後,迷入の合併症を念頭に絶飲食と抗菌薬投与を行ない,入院期間の延長を要したが経過良好で無事退院した。  経鼻挿管時の気管チューブの深頸部への迷入は稀な合併症であるが,深頸部膿瘍や縦隔炎などの重大な合併症を引き起こす可能性がある。慎重な気管チューブの操作によって迷入させないことと,迷入を診断した際には早期に的確な対応をすることが重要である。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.74.111