頚髄損傷患者の非経口栄養投与経路の選択に難渋しながら経口摂取を再開できた1例

80代男性で、屋外で転倒し頚髄損傷で四肢麻痺の状態となった。急性期病院で中心静脈栄養が開始され当院回復期病院へ転院となり少量の経口摂取を開始した。しかし、発熱によるカテーテル抜去等、栄養経路が定まらない状態が続いた。家族は胃ろうを強く拒否していたがBMIが15.2kg/m2と低体重であり、経口摂取の継続のためにも早期に栄養介入をして廃用を防ぐ必要があった。しかし、原因不明の発熱により医師の治療方針も定まらず、積極的な栄養管理は実施されなかった。そのため、経口摂取量は少なく、中心静脈栄養を併用して経口摂取を継続することとなった。安全な経口摂取のためには、嚥下評価や嚥下訓練、代償的摂食環境だけでな...

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Bibliographic Details
Published in日本栄養士会雑誌 Vol. 67; no. 7; pp. 352 - 357
Main Author 松長, 由美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本栄養士会 2024
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ISSN0013-6492
2185-6877
DOI10.11379/jjda.67.352

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Summary:80代男性で、屋外で転倒し頚髄損傷で四肢麻痺の状態となった。急性期病院で中心静脈栄養が開始され当院回復期病院へ転院となり少量の経口摂取を開始した。しかし、発熱によるカテーテル抜去等、栄養経路が定まらない状態が続いた。家族は胃ろうを強く拒否していたがBMIが15.2kg/m2と低体重であり、経口摂取の継続のためにも早期に栄養介入をして廃用を防ぐ必要があった。しかし、原因不明の発熱により医師の治療方針も定まらず、積極的な栄養管理は実施されなかった。そのため、経口摂取量は少なく、中心静脈栄養を併用して経口摂取を継続することとなった。安全な経口摂取のためには、嚥下評価や嚥下訓練、代償的摂食環境だけでなく栄養量の確保が必要である。嚥下機能獲得の近道として非経口栄養投与の選択もあり得る。本症例は、代償姿勢の導入に加え、中心静脈栄養と少量高エネルギーの食事提供により経口摂取量が増加し、摂食・嚥下状況のレベル評価(Food Intake Level Scale;FILS)がレベル3から6へ改善し体重増加も見られた。
ISSN:0013-6492
2185-6877
DOI:10.11379/jjda.67.352