若年女性(33歳)に発症した長径21cmの膵粘液性嚢胞腺癌の1例

症例は33歳の女性で,約1年前より腹部膨満を自覚するも放置していた.その後,下痢のため近医を受診した際に,腹部腫瘤を指摘されたため,精査・加療目的に当科へ紹介となった.腹部CT検査では,腹腔内にcyst-in-cyst構造を呈する,膵臓と連続する長径21cmの巨大腫瘍を認め,FDG-PET/CTでは隔壁構造部分に陽性集積を認めた.以上より膵粘液性嚢胞腫瘍が疑われ,脾温存膵体尾部切除術を施行した.切除標本は長径21cm,重量3,800g,チョコレート様の内容液を含んでいた.病理組織学的には,核・構造異型が高度であり,ER(+)とPgR(+)より,膵粘液性嚢胞腺癌(TisN0M0,fStage 0...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 895 - 900
Main Authors 豊木, 嘉一, 袴田, 健一, 石戸, 圭之輔, 一戸, 大地, 工藤, 大輔, 木村, 憲央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.895

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Summary:症例は33歳の女性で,約1年前より腹部膨満を自覚するも放置していた.その後,下痢のため近医を受診した際に,腹部腫瘤を指摘されたため,精査・加療目的に当科へ紹介となった.腹部CT検査では,腹腔内にcyst-in-cyst構造を呈する,膵臓と連続する長径21cmの巨大腫瘍を認め,FDG-PET/CTでは隔壁構造部分に陽性集積を認めた.以上より膵粘液性嚢胞腫瘍が疑われ,脾温存膵体尾部切除術を施行した.切除標本は長径21cm,重量3,800g,チョコレート様の内容液を含んでいた.病理組織学的には,核・構造異型が高度であり,ER(+)とPgR(+)より,膵粘液性嚢胞腺癌(TisN0M0,fStage 0)と診断された.術後補助化学療法は施行せずに経過観察中であるが,術後1年2カ月経過した現在も再発を認めていない.巨大な膵粘液性嚢胞性腫瘍を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.895