細菌培養陽性の有瘻性全膿胸に対して大網充填,胸郭成形とEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)固定を施行し根治した1例

背景.有瘻性膿胸の治療は時に困難を伴う.今回我々は細菌培養陽性の有瘻性全膿胸に対し,瘻孔へのEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)固定と胸郭成形により遺残腔なく大網を充填することができ,根治し得た症例を経験したので報告する.症例.75歳,男性.約5年前に肺癌に右上葉切除を施行した.術後残存肺への再発に対して残肺全摘を行った.術後気管支断端瘻による有瘻性膿胸を認め,開窓術を施行した.細菌培養陽性であったが膿胸腔の肉眼的浄化が得られたため,膿胸根治術を行った.術野から瘻孔部にEWSを直接充填し,モノフィラメント非吸収糸による貫通結紮を置きEWSを固定した.さらに大網で...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 1; pp. 33 - 37
Main Authors 西平, 守道, 有賀, 健仁, 伊藤, 祥之, 荒木, 修, 苅部, 陽子, 前田, 寿美子, 千田, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2021
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Summary:背景.有瘻性膿胸の治療は時に困難を伴う.今回我々は細菌培養陽性の有瘻性全膿胸に対し,瘻孔へのEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)固定と胸郭成形により遺残腔なく大網を充填することができ,根治し得た症例を経験したので報告する.症例.75歳,男性.約5年前に肺癌に右上葉切除を施行した.術後残存肺への再発に対して残肺全摘を行った.術後気管支断端瘻による有瘻性膿胸を認め,開窓術を施行した.細菌培養陽性であったが膿胸腔の肉眼的浄化が得られたため,膿胸根治術を行った.術野から瘻孔部にEWSを直接充填し,モノフィラメント非吸収糸による貫通結紮を置きEWSを固定した.さらに大網で被覆し,胸郭成形術を加えた.術後気管支断端瘻,膿胸の再燃は認められず順調に経過している.結語.EWSの瘻孔への固定は,有瘻性膿胸根治術に有効な補助手段となり得る.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.1_33