常温保存下における照射レトルト牛丼中2-アルキルシクロブタノンの安定性について(2)

2-アルキルシクロブタノン(ACBs)は,放射線照射により食品中に含まれる脂肪酸から特異的に生じるため,食品の照射履歴の検知指標として有用な物質である。我々はこれまでに常温保存下でのACBsの安定性を評価することを目的として,レトルト包装された牛丼の具(レトルト牛丼)中に生成した2-ドデシルシクロブタノン(DCB)および2-テトラデシルシクロブタノン(TCB)の濃度を追跡し,照射後1年を経過してもACB濃度に大きな変化がないことを報告した。本研究では,さらに保存期間を3年に延長し,常温保存した照射レトルト牛丼中のDCBおよびTCB濃度を測定した。また,照射後0か月の試料を3年冷凍保存し,冷凍保...

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Published in食品照射 Vol. 51; no. 1; pp. 17 - 22
Main Authors 北川, 陽子, 起橋, 雅浩, 高取, 聡, 福井, 直樹, 梶村, 計志, 尾花, 裕孝, 古田, 雅一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品照射研究協議会 2016
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Summary:2-アルキルシクロブタノン(ACBs)は,放射線照射により食品中に含まれる脂肪酸から特異的に生じるため,食品の照射履歴の検知指標として有用な物質である。我々はこれまでに常温保存下でのACBsの安定性を評価することを目的として,レトルト包装された牛丼の具(レトルト牛丼)中に生成した2-ドデシルシクロブタノン(DCB)および2-テトラデシルシクロブタノン(TCB)の濃度を追跡し,照射後1年を経過してもACB濃度に大きな変化がないことを報告した。本研究では,さらに保存期間を3年に延長し,常温保存した照射レトルト牛丼中のDCBおよびTCB濃度を測定した。また,照射後0か月の試料を3年冷凍保存し,冷凍保存条件でのACBsの安定性についてもあわせて検討した。その結果,常温保存試料は,冷凍保存試料と比較して,脂質の劣化に由来すると考えられる夾雑ピークが多数認められた。しかし,保存条件に関わらず,照射後3年を経過しても照射レトルト牛丼中に生成したACBsは安定であり,照射履歴の検知は可能であった。
ISSN:0387-1975
1884-3611
DOI:10.5986/jrafi.51.17