慢性腎臓病(CKD)診療における地域連携パスの作成と導入

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は、末期腎不全と心・脳血管疾患発症の危険因子であり、CKD進行を抑制する治療が非常に重要である。しかしCKDの有病率は高いため、腎臓専門医が、非専門医と連携して診療するシステム案が日本腎臓学会から紹介されている。当院も地域の中核病院として、2008年6月から5診療所との間で、「杉並CKD病診連携の会」を立ち上げ、CKD連携パスを作成し運用を開始した。紹介基準は蛋白尿や血尿、腎機能が進行性に悪化し、推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)40ml/分/1.73m2以下と...

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Published in日本クリニカルパス学会誌 Vol. 12; no. 1; pp. 13 - 18
Main Authors 岡井, 隆広, 篠田, 俊雄, 近藤, 邦夫, 別府, 良男, 角田, 圭子, 渕之上, 眞澄, 家城, 恵子, 嶋村, 直美, 佐々木, 康二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本クリニカルパス学会 15.03.2010
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Summary:慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は、末期腎不全と心・脳血管疾患発症の危険因子であり、CKD進行を抑制する治療が非常に重要である。しかしCKDの有病率は高いため、腎臓専門医が、非専門医と連携して診療するシステム案が日本腎臓学会から紹介されている。当院も地域の中核病院として、2008年6月から5診療所との間で、「杉並CKD病診連携の会」を立ち上げ、CKD連携パスを作成し運用を開始した。紹介基準は蛋白尿や血尿、腎機能が進行性に悪化し、推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)40ml/分/1.73m2以下とした。腎臓専門外来でCKDの診断を行い、適応症例をCKD連携パスに導入し、かかりつけ医では月1回の受診で日常診療を行い、専門外来では腎機能に応じ2~6ヵ月おきに受診し、心血管疾患の検索、CKDの進行を抑制する治療を行った。パスシートは、紹介状より簡便で必要な情報が適確に伝わるよう工夫し、A4半分サイズでクリアファイルに入れ、患者が持ち運びやすい形にした。2009年6月現在、登録患者は16名で、半年以上観察した8例では、75%の症例で腎機能進行が抑制されたが、血圧、LDLコレステロールが目標値に達した症例は50%であった。今後もパス内容、運用方法の見直しを重ね、さらに連携医の増加を呼びかける予定である。
ISSN:2187-6592
2436-1046
DOI:10.50842/jjscp.12.1_13