同時性頸部リンパ節転移をきたした胃平滑筋肉腫(長径17cm)の1例
症例は72歳,男性.腹部膨満感を主訴に,精査加療目的で当科へ紹介受診となった.腹部造影CTにて腹腔内に胃から連続する巨大腫瘤を認め,PET-CTにて左頸部リンパ節にFDGの集積を認めた.開腹すると,胃前庭部大彎側より発育した有茎性の巨大腫瘍(170×110×85mm)を認め,胃局所切除術にて腫瘍を摘出した.病理組織学的検査では紡錘形核をもつ細胞の束状,錯綜状増生を認め,免疫組織化学染色にてc-kitとs-100は陰性,α-SMAとDesminは陽性であった.また,Mib-1 indexが55%で核分裂像も高度であったため,平滑筋肉腫と診断した.術後に左頸部腫瘤を針生検したところ,胃平滑筋肉腫と...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 4; pp. 686 - 692 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2020
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.81.686 |
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Summary: | 症例は72歳,男性.腹部膨満感を主訴に,精査加療目的で当科へ紹介受診となった.腹部造影CTにて腹腔内に胃から連続する巨大腫瘤を認め,PET-CTにて左頸部リンパ節にFDGの集積を認めた.開腹すると,胃前庭部大彎側より発育した有茎性の巨大腫瘍(170×110×85mm)を認め,胃局所切除術にて腫瘍を摘出した.病理組織学的検査では紡錘形核をもつ細胞の束状,錯綜状増生を認め,免疫組織化学染色にてc-kitとs-100は陰性,α-SMAとDesminは陽性であった.また,Mib-1 indexが55%で核分裂像も高度であったため,平滑筋肉腫と診断した.術後に左頸部腫瘤を針生検したところ,胃平滑筋肉腫と同様の組織像であったため,リンパ節転移と診断した.胃平滑筋肉腫は血行性転移をきたす場合が多く,リンパ行性転移は非常に稀とされている.胃平滑筋肉腫に頸部リンパ節転移をきたした症例の報告は本邦ではない. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.81.686 |