日本総合健診医学会 第47回大会・シンポジウム1 健診の質向上に向けて~問題点と対応~ 超音波検(健)診の現状と課題

超音波検査(以下、US)は、放射線被曝や苦痛もなく装置も簡便であることから、一般診療のみならず任意型検診や人間ドックにも広く用いられており、がん検診における有用性も報告されている。その一方で、診断装置や走査法などの実施基準、US画像所見の判定基準、事後指導についての明確な規定はなく、がん検診としての精度管理や有効性の評価はなされていなかった。 2014年に日本消化器がん検診学会、日本超音波医学会、日本人間ドック学会が連携して、がん検診としての精度管理や有効性の評価を目的に「腹部超音波検(健)診判定マニュアル」(以下、判定マニュアル)が発行された。判定マニュアルは、実施基準、カテゴリー、判定区分...

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Published in総合健診 Vol. 46; no. 6; pp. 559 - 566
Main Authors 岩下, 和広, 岡庭, 信司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.11.2019
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.46.559

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Summary:超音波検査(以下、US)は、放射線被曝や苦痛もなく装置も簡便であることから、一般診療のみならず任意型検診や人間ドックにも広く用いられており、がん検診における有用性も報告されている。その一方で、診断装置や走査法などの実施基準、US画像所見の判定基準、事後指導についての明確な規定はなく、がん検診としての精度管理や有効性の評価はなされていなかった。 2014年に日本消化器がん検診学会、日本超音波医学会、日本人間ドック学会が連携して、がん検診としての精度管理や有効性の評価を目的に「腹部超音波検(健)診判定マニュアル」(以下、判定マニュアル)が発行された。判定マニュアルは、実施基準、カテゴリー、判定区分(事後指導)からなっており、US画像所見にカテゴリーが対応しているため、専門領域でない判定医にも適切な判定区分の決定が可能となる。 一方、判定マニュアルの運用にはいくつかの課題もある。実施基準においては、検査担当者の専門性と記録断面がUS検(健)診の質的向上と均質化において最も重要な因子であり、推奨走査法や記録断面を定める必要がある。US画像所見とカテゴリーについては、US画像所見の不備、不十分な理解あるいは誤った解釈は、偽陰性例や偽陽性例といった受診者の不利益を生じる可能性がある。そのため、US画像所見の継続的な改訂と検査担当者に対する教育指導が必要である。 さらに、US検(健)診の精度向上と均質化には、US検(健)診の走査技術や読影技術に対する外部評価が必須であり、信頼性の高い優良施設の育成にも有用と考えられる。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.46.559