一般化線形モデルを用いた北海道産ニホンジカ (Cervus nippon)の第4 胃内線虫Spiculopteragia houdemeri 2 型の寄生虫体数と各種因子の関連性の分析

北海道足寄町産ニホンジカCervus nippon の第4 胃内に寄生する線虫, Spiculopteragia houdemeriの雄における2型,ʻʻmorph houdemeriʼʼおよび ʻʻmorph andreevaeʼʼ の寄生虫体数と,宿主個体の因子(性,齢,体重)などとの関連を一般化線形モデルで分析し,AIC(赤池情報量基準)により最適モデルを選択した。ʻʻmorph houdemeriʼʼの虫体数に対して多くの因子の主効果,交互作用効果が有意に作用していた。主効果において,この線虫の虫体数は雄宿主で有意に少なく,宿主の生息地選択の性差が関係している可能性があるとともに,有意...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本野生動物医学会誌 Vol. 18; no. 3; pp. 99 - 105
Main Authors 横畑, 泰志, 北村, 恵里, 鈴木, 正嗣
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本野生動物医学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1342-6133
2185-744X
DOI10.5686/jjzwm.18.99

Cover

More Information
Summary:北海道足寄町産ニホンジカCervus nippon の第4 胃内に寄生する線虫, Spiculopteragia houdemeriの雄における2型,ʻʻmorph houdemeriʼʼおよび ʻʻmorph andreevaeʼʼ の寄生虫体数と,宿主個体の因子(性,齢,体重)などとの関連を一般化線形モデルで分析し,AIC(赤池情報量基準)により最適モデルを選択した。ʻʻmorph houdemeriʼʼの虫体数に対して多くの因子の主効果,交互作用効果が有意に作用していた。主効果において,この線虫の虫体数は雄宿主で有意に少なく,宿主の生息地選択の性差が関係している可能性があるとともに,有意な齢差がみられ,1 歳子の宿主で他の齢群よりも少なく,当歳子での母子感染や,2 歳以上の成獣での体サイズの増大のような増加要因を欠くためと考えられた。他には宿主の体重,ʻʻmorph andreevaeʼʼの寄生の有無の主効果が有意に影響していた。ʻʻmorph andreevaeʼʼの虫体数は ʻʻmorph houdemeriʼʼの虫体数が多いほど多く,他には宿主の齢のみが有意に作用していた。優占しているʻʻmorph houdemeriʼʼの虫体数には宿主個体などの多様な因子が作用し,劣位なʻʻmorph andreevaeʼʼの虫体数には作用する因子が少なく,ʻʻmorph houdemeriʼʼの虫体数などが作用していた。いくつかの交互作用効果は解釈が難しく,今後は虫体数の季節的動態などに関する新たな因子を加えた分析が望まれる。
ISSN:1342-6133
2185-744X
DOI:10.5686/jjzwm.18.99