人工知能支援下デジタルパソロジー解析による,早期大腸癌の治療戦略

大腸癌は早期に発見し適切に治療すれば生存率が向上する疾患である.特に早期大腸癌におけるリンパ節転移リスクの正確な評価は,内視鏡治療か外科手術かの治療選択,および予後を左右する重要な要素となる.しかし,転移リスクの予測精度や病理診断の再現性には課題が残されている.近年,AIとデジタルパソロジー技術が注目されており,これらの課題を克服し,より高精度かつ再現性の高いリスク評価が可能になることが期待されている.実際に,筆者らの研究においてAIモデルによる早期大腸癌のリンパ節転移リスク予測は,現行のガイドラインを上回る精度を示している.今後は多施設共同研究や前向き研究を通じて外的検証を行い,AIモデルの...

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Published in昭和医科大学雑誌 Vol. 85; no. 3; pp. 199 - 203
Main Authors 若村, 邦彦, 三澤, 将史, 椎名, 脩, 一政, 克朗, 工藤, 進英, 森田, 友梨子, 林, 武雅, 仙波, 重則, 高階, 祐輝, 櫻井, 達也, 根本, 哲生, 澤田, 成彦, 神山, 勇太, 馬場, 俊之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和医科大学学士会 2025
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ISSN2759-8144
2759-8152
DOI10.14930/jsmu.85.3_199

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Summary:大腸癌は早期に発見し適切に治療すれば生存率が向上する疾患である.特に早期大腸癌におけるリンパ節転移リスクの正確な評価は,内視鏡治療か外科手術かの治療選択,および予後を左右する重要な要素となる.しかし,転移リスクの予測精度や病理診断の再現性には課題が残されている.近年,AIとデジタルパソロジー技術が注目されており,これらの課題を克服し,より高精度かつ再現性の高いリスク評価が可能になることが期待されている.実際に,筆者らの研究においてAIモデルによる早期大腸癌のリンパ節転移リスク予測は,現行のガイドラインを上回る精度を示している.今後は多施設共同研究や前向き研究を通じて外的検証を行い,AIモデルの精度向上を図る必要がある.さらに,研究開発の進展によって,この技術が一層向上し,大腸癌患者の予後改善に貢献することが期待される.
ISSN:2759-8144
2759-8152
DOI:10.14930/jsmu.85.3_199