コツメカワウソ(Aonyx cinerea)における腹腔鏡下卵巣子宮摘出術

水族館動物園で飼育されているメスのコツメカワウソ(Aonyx cinerea)は,疾病予防や血統管理のために避妊手術が必要な場合がある。一般的に,避妊手術は開腹による卵巣子宮摘出術や卵巣摘出術が選択される。しかし,広い切開を必要とする開腹術では,コツメカワウソが切開部位を自傷することにより,様々な合併症を引き起こすことが懸念される。そこで,大阪・海遊館のコツメカワウソに対して,術後合併症を予防する目的のために腹腔鏡下卵巣子宮摘出術を2例施行した。3ポートテクニックを選択し,手術時間はそれぞれ45分と23分であった。両症例とも低侵襲手術が可能であり,重大な合併症は認められなかった。腹腔鏡下手術は...

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Published in日本野生動物医学会誌 Vol. 28; no. 1; pp. 59 - 64
Main Authors 宮側, 賀美, 伊藤, このみ, 金井, 浩雄, 伊東, 隆臣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本野生動物医学会 05.04.2023
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ISSN1342-6133
2185-744X
DOI10.5686/jjzwm.28.59

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Summary:水族館動物園で飼育されているメスのコツメカワウソ(Aonyx cinerea)は,疾病予防や血統管理のために避妊手術が必要な場合がある。一般的に,避妊手術は開腹による卵巣子宮摘出術や卵巣摘出術が選択される。しかし,広い切開を必要とする開腹術では,コツメカワウソが切開部位を自傷することにより,様々な合併症を引き起こすことが懸念される。そこで,大阪・海遊館のコツメカワウソに対して,術後合併症を予防する目的のために腹腔鏡下卵巣子宮摘出術を2例施行した。3ポートテクニックを選択し,手術時間はそれぞれ45分と23分であった。両症例とも低侵襲手術が可能であり,重大な合併症は認められなかった。腹腔鏡下手術は,飼育下コツメカワウソの卵巣子宮摘出に対して適切な術式であると考えられた。
ISSN:1342-6133
2185-744X
DOI:10.5686/jjzwm.28.59