頭頸部癌治療における粒子線治療の現状と今後(総説)

頭頸部癌治療における放射線治療の役割は解剖学的な特異性から,他臓器の癌以上に大きいものがある。最近の放射線治療の進歩として強度変調放射線治療(IMRT)と粒子線治療がある。IMRTは複雑な照射野形成が可能であり,頭頸部癌において最もその特性が活かせる治療法である。一方,粒子線治療は大きな腫瘍に対して効率よく放射線を集中させることが可能であり,殺細胞効果の高さも加わり,通常のX線治療やIMRTで制御困難な大きな腫瘍や放射線抵抗性腫瘍がその対象になる。 現在,頭頸部癌における粒子線治療の主な対象は非扁平上皮癌であるが,今後は進行頭頸部扁平上皮癌に対しても化学療法との併用治療は重要な役割を担うものと...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 28; no. 3; pp. 128 - 133
Main Author 不破, 信和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 2016
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ISSN0915-5988
1884-4995
DOI10.5843/jsot.28.128

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Summary:頭頸部癌治療における放射線治療の役割は解剖学的な特異性から,他臓器の癌以上に大きいものがある。最近の放射線治療の進歩として強度変調放射線治療(IMRT)と粒子線治療がある。IMRTは複雑な照射野形成が可能であり,頭頸部癌において最もその特性が活かせる治療法である。一方,粒子線治療は大きな腫瘍に対して効率よく放射線を集中させることが可能であり,殺細胞効果の高さも加わり,通常のX線治療やIMRTで制御困難な大きな腫瘍や放射線抵抗性腫瘍がその対象になる。 現在,頭頸部癌における粒子線治療の主な対象は非扁平上皮癌であるが,今後は進行頭頸部扁平上皮癌に対しても化学療法との併用治療は重要な役割を担うものと思われる。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.28.128