インドネシア東部地域における観光事業と地域経済に関連したコモドオオトカゲの保全に関する問題点

コモドオオトカゲの保全の問題点をコモド村で検討した。観光業は1990年代以降,村の経済構造を変化させているが,新たな施策は村民の豊かさには結びついていない。コモドオオトカゲと住民の関係は,人間と家畜に一定の被害を出しながらも,伝統的に良好に築かれてきた。危険なコモドオオトカゲはこれまでも人々の安全な日常を阻害し,いまも害しているが,高床式住居のような建築方式や漁撈のような伝統的生活様式によって,村民とオオトカゲの調和した関係が維持されている。新しい保全理念や観光化の推進は,部分的に住民を漁撈から土産物販売へと移行させが,村民と地域社会は経済的に豊かになったわけではない。コモドオオトカゲにまつわ...

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Published in日本野生動物医学会誌 Vol. 18; no. 1; pp. 29 - 32
Main Author 遠藤, 秀紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本野生動物医学会 2013
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ISSN1342-6133
2185-744X
DOI10.5686/jjzwm.18.29

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Summary:コモドオオトカゲの保全の問題点をコモド村で検討した。観光業は1990年代以降,村の経済構造を変化させているが,新たな施策は村民の豊かさには結びついていない。コモドオオトカゲと住民の関係は,人間と家畜に一定の被害を出しながらも,伝統的に良好に築かれてきた。危険なコモドオオトカゲはこれまでも人々の安全な日常を阻害し,いまも害しているが,高床式住居のような建築方式や漁撈のような伝統的生活様式によって,村民とオオトカゲの調和した関係が維持されている。新しい保全理念や観光化の推進は,部分的に住民を漁撈から土産物販売へと移行させが,村民と地域社会は経済的に豊かになったわけではない。コモドオオトカゲにまつわる過度の観光化を注視する必要がある。
ISSN:1342-6133
2185-744X
DOI:10.5686/jjzwm.18.29