日本総合健診医学会 第51回大会・特別講演1 ストリートメディカルで広がる新たな医療の起点

心臓病、脳卒中、がん、糖尿病、および慢性肺疾患などの非感染性疾患「Non-Communicable Disease」が世界中で主要な死因となっている。これらの疾患は、日常生活での食事、運動、睡眠、人間関係、住環境、嗜好、仕事などの様々な因子が絡まりながら発症するものであることから、それらの予防のためには日常生活における行動変容が必要である。しかし健康関心層を除いた一般市民にとって未来の健康に向けて行動変容を起こすことは容易ではない。そこでわれわれは、新たな介入手法開発の起点として「ストリートメディカル」という新概念を提唱している。「ストリートメディカル」とは、医療の対象を「患者」から「生活者」...

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Published in総合健診 Vol. 50; no. 6; pp. 533 - 543
Main Authors 小髙, 明日香, 藤森, 晶子, 西井, 正造, 武部, 貴則, 村田, 尚寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.11.2023
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.50.533

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Summary:心臓病、脳卒中、がん、糖尿病、および慢性肺疾患などの非感染性疾患「Non-Communicable Disease」が世界中で主要な死因となっている。これらの疾患は、日常生活での食事、運動、睡眠、人間関係、住環境、嗜好、仕事などの様々な因子が絡まりながら発症するものであることから、それらの予防のためには日常生活における行動変容が必要である。しかし健康関心層を除いた一般市民にとって未来の健康に向けて行動変容を起こすことは容易ではない。そこでわれわれは、新たな介入手法開発の起点として「ストリートメディカル」という新概念を提唱している。「ストリートメディカル」とは、医療の対象を「患者」から「生活者」へ、医療の現場を「病院」から「生活の場」へと拡張し、生活産業やエンタメ産業などで蓄積されてきた人々のHappinessに訴求するための知見・ノウハウを医療のアップデートに取り込もうとする試みである。 本稿では、われわれがこれまでに取り組んだ「ストリートメディカル」実践例(1)「速歩促進・歩幅増大を企図した床面装飾デザイン施策」、(2)「軽度認知障害の早期検知を促進するためのデジタルゲーム」をそれらの効果検証の結果とともに紹介し、ストリートメディカルの実践イメージを共有する。更に、効果的な行動変容介入法の開発に向けて「PERMAモデル」というHappiness要素のチェックフレーム活用が有効に機能する可能性を示す。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.50.533