カンボク(Viburnum opulus L. var. sargentii (Koehne) Takeda)とゴマギ(Viburnum sieboldii Miq.)種子の形態生理的休眠の打破

ガマズミ属の種子は形態生理的休眠を有することが多いとされているが,種ごとの休眠打破方法の詳細はわかっていない。本研究では,ガマズミ属のうちカンボクとゴマギの種子を早期に発芽させることを目的とし,暖温と冷温を組合わせた湿層処理による休眠打破方法について検討した。その結果カンボクは20 ℃恒温条件および25/15 ℃変温条件(12時間切替え)で暖温湿層処理を75日行うと胚が成長し発根が始まり,その後5 ℃恒温条件の冷温湿層処理を90日行うと発芽させることができた。ゴマギは暖温湿層処理が不要で,約3ヶ月半の冷温湿層処理で発根させられることが明らかになった。また,採取後約1年間の冷蔵貯蔵のみで発芽させ...

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Published in日本緑化工学会誌 Vol. 47; no. 1; pp. 81 - 86
Main Authors 武井, 理臣, 廣川, めぐみ, 定免, 大生, 橘, 隆一, 福永, 健司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緑化工学会 31.08.2021
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Summary:ガマズミ属の種子は形態生理的休眠を有することが多いとされているが,種ごとの休眠打破方法の詳細はわかっていない。本研究では,ガマズミ属のうちカンボクとゴマギの種子を早期に発芽させることを目的とし,暖温と冷温を組合わせた湿層処理による休眠打破方法について検討した。その結果カンボクは20 ℃恒温条件および25/15 ℃変温条件(12時間切替え)で暖温湿層処理を75日行うと胚が成長し発根が始まり,その後5 ℃恒温条件の冷温湿層処理を90日行うと発芽させることができた。ゴマギは暖温湿層処理が不要で,約3ヶ月半の冷温湿層処理で発根させられることが明らかになった。また,採取後約1年間の冷蔵貯蔵のみで発芽させられる可能性がある。両種の発芽特性を明らかにすることで,植栽工等で利用する苗木の育成期間の短縮につながると考えられる。
ISSN:0916-7439
0916-7439
DOI:10.7211/jjsrt.47.81