岡山県におけるICT(information and communication technology)を用いた救急医療情報システム導入の現状と課題

岡山県の消防は政令指定都市から過疎地域までさまざまな背景をもった14の消防機関から成り立っている。県は2016(平成28)年10月にICTを用いた新たな救急搬送システムを導入し,開始から3カ月後の12月に医療機関と消防機関に対して利用状況のアンケートを実施した。その結果,応需情報共有機能や搬送実績共有機能など有用と考えて導入された機能が,消防にも医療機関でも十分に活用されているとはいえず運用方法またはシステムの仕様に改善の余地があることがわかった。とくに医療資源の乏しい中小の消防機関においてその傾向は顕著であり,今後は地域ごとの実情に応じた持続可能なシステムへの改変を進めるとともに,緊急度判定...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 22; no. 3; pp. 499 - 506
Main Authors 池上, 徹則, 藤原, 俊文, 福岡, 敏雄, 氏家, 良人, 中尾, 篤典, 實金, 健, 則安, 俊昭, 荻野, 隆光, 森本, 直樹, 桐山, 英樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 30.06.2019
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ISSN1345-0581
2187-9001
DOI10.11240/jsem.22.499

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Summary:岡山県の消防は政令指定都市から過疎地域までさまざまな背景をもった14の消防機関から成り立っている。県は2016(平成28)年10月にICTを用いた新たな救急搬送システムを導入し,開始から3カ月後の12月に医療機関と消防機関に対して利用状況のアンケートを実施した。その結果,応需情報共有機能や搬送実績共有機能など有用と考えて導入された機能が,消防にも医療機関でも十分に活用されているとはいえず運用方法またはシステムの仕様に改善の余地があることがわかった。とくに医療資源の乏しい中小の消防機関においてその傾向は顕著であり,今後は地域ごとの実情に応じた持続可能なシステムへの改変を進めるとともに,緊急度判定支援機能や傷病者情報送信機能の導入整備,管轄外搬送する際の基準作りを進め,新救急搬送システムが病院前から始まる救急医療体制整備に有効活用できるよう,検討を継続していく必要がある。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.22.499