眼窩吹き抜け骨折(内壁,下壁)に対する経皮的アプローチ

眼窩吹き抜け骨折に対する経皮的アプローチとして,われわれは,下壁骨折には下眼瞼切開,内壁骨折には内眼角切開を選択している。下眼瞼切開は,睫毛下と眼窩下縁の中間付近を自然皺襞に沿って切開する。これにより,広い術野が得られ,術後瘢痕も目立たない。内眼角切開では,内眼角靱帯,前,後篩骨動脈の切断を要する。眼窩の剥離は,骨欠損の全周を確認できるまで行う。これは,眼窩内容物を全て眼窩内へ還納するためと,眼窩壁を再建する移植片を確実に骨欠損の辺縁に載せて,副鼻腔に脱落させないようにするためである。眼窩壁の再建は,眼窩内容物の再脱出による再拘扼や外眼筋の下垂,眼球陥凹などを防ぐために必要である。再建は骨欠損...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 53; no. 2; pp. 92 - 101
Main Authors 黒木, 知明, 吉本, 信也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2014
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.53.92

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Summary:眼窩吹き抜け骨折に対する経皮的アプローチとして,われわれは,下壁骨折には下眼瞼切開,内壁骨折には内眼角切開を選択している。下眼瞼切開は,睫毛下と眼窩下縁の中間付近を自然皺襞に沿って切開する。これにより,広い術野が得られ,術後瘢痕も目立たない。内眼角切開では,内眼角靱帯,前,後篩骨動脈の切断を要する。眼窩の剥離は,骨欠損の全周を確認できるまで行う。これは,眼窩内容物を全て眼窩内へ還納するためと,眼窩壁を再建する移植片を確実に骨欠損の辺縁に載せて,副鼻腔に脱落させないようにするためである。眼窩壁の再建は,眼窩内容物の再脱出による再拘扼や外眼筋の下垂,眼球陥凹などを防ぐために必要である。再建は骨欠損を移植片で閉鎖することで行うが,生理的な眼窩容積に影響を及ぼさないよう,移植片はできるだけ薄い再建材料であることが望ましい。腸骨内板は,薄く,生着することにより半永久的な支持性をもつものと考えられ,移植片として適している。経皮的アプローチの最大の欠点は,顔面に瘢痕を残すことであるから,縫合に際しては手術瘢痕を目立たせないような配慮が必要である。とくに内眼角切開後は,内眼角靭帯の正確な再縫合が内眼角部形態の再現に重要である。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.53.92