中学校英語教科書における英語母語話者と日本人英語学習者の表象

本稿では新しい中学校英語教科書における英語母語話者と日本人英語学習者の表象を主に計量的な観点から分析した。正規の単元から会話の場面を抜き出し、英語母語話者と日本語英語学習者の登場人物による発話を比較した。具体的には、1)発話の回数や長さのバランス、2)情報の提供と受容の役割における偏り、3)相手や情報に対する反応、4)やりとりのパターン、に着目した。分析の結果、これまでの研究と比較して話者の発話の量のバランスへの配慮が見られた。また、多くのやりとりはトピックの導入とそのトピックについての情報の受け渡しを含むものであるが、日本人英語学習者は会話を始めたり質問をしたりと会話の進行における主導権を取...

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Published inメディア・英語・コミュニケーション Vol. 12; no. 1; pp. 65 - 82
Main Author メディア意識研究分科会
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本メディア英語学会 30.09.2022
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ISSN2186-1420
2436-8016
DOI10.11293/james.12.1_65

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Summary:本稿では新しい中学校英語教科書における英語母語話者と日本人英語学習者の表象を主に計量的な観点から分析した。正規の単元から会話の場面を抜き出し、英語母語話者と日本語英語学習者の登場人物による発話を比較した。具体的には、1)発話の回数や長さのバランス、2)情報の提供と受容の役割における偏り、3)相手や情報に対する反応、4)やりとりのパターン、に着目した。分析の結果、これまでの研究と比較して話者の発話の量のバランスへの配慮が見られた。また、多くのやりとりはトピックの導入とそのトピックについての情報の受け渡しを含むものであるが、日本人英語学習者は会話を始めたり質問をしたりと会話の進行における主導権を取る一方で、情報を提供している役割の多くは英語母語話者が担っているという構図が見られた。また、英語母語話者の登場人物は、日本人英語学習者が挑戦したり頑張ったりすることを励ますといった教師的・助言者的な振る舞いを見せることがあった。
ISSN:2186-1420
2436-8016
DOI:10.11293/james.12.1_65