運動ニューロン疾患における実践的電気診断アプローチ

運動ニューロン疾患の診断において神経伝導検査や針筋電図検査などの電気生理学的評価は最も重要である。本稿では, ALSをはじめとする運動ニューロン疾患の電気診断戦略について我々が行っている方法を中心に概説した。最新のALS診断基準であるGold Coast基準では上位運動ニューロン徴候を欠く症例でも診断が可能となった。筋電図検査における確実な脱神経所見 (線維自発電位や線維束自発電位) の検出やその分布の確認, 臨床経過との整合性の見極めは現時点で確定診断の中核をている。検査の組み立て方は, 神経伝導検査 (感覚神経電位の保持), 反復神経刺激試験 (減衰現象), 超音波検査 (線維束性収縮の有...

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Published in臨床神経生理学 Vol. 53; no. 4; pp. 208 - 214
Main Author 関口 兼司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床神経生理学会 01.08.2025
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ISSN1345-7101
2188-031X
DOI10.11422/jscn.53.208

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Summary:運動ニューロン疾患の診断において神経伝導検査や針筋電図検査などの電気生理学的評価は最も重要である。本稿では, ALSをはじめとする運動ニューロン疾患の電気診断戦略について我々が行っている方法を中心に概説した。最新のALS診断基準であるGold Coast基準では上位運動ニューロン徴候を欠く症例でも診断が可能となった。筋電図検査における確実な脱神経所見 (線維自発電位や線維束自発電位) の検出やその分布の確認, 臨床経過との整合性の見極めは現時点で確定診断の中核をている。検査の組み立て方は, 神経伝導検査 (感覚神経電位の保持), 反復神経刺激試験 (減衰現象), 超音波検査 (線維束性収縮の有無や神経腫大がないことの確認) なども組み合わせて, 症状に応じ患者ごとに適切な検査手順を計画し多面的に評価することで, ALSの診断精度を高めることが可能になる。
ISSN:1345-7101
2188-031X
DOI:10.11422/jscn.53.208