ステロイド投与(8年)患者に発症した腹壁筋断裂による腹壁ヘルニアの1例
症例は54歳,女性.平成16年に全身性エリテマトーデス(以下SLE)と診断されて以来,副腎皮質ステロイド剤を中心とした治療が継続中であった.平成24年6月中旬より,左側腹部に手拳大の膨隆を自覚し腹部CT検査を施行し,左側腹部の腹壁ヘルニアと診断され当科紹介となった.初診時は腹部症状はなく,ステロイド長期投与による術後合併症のリスクを考慮し経過観察とした.その後,急速にヘルニアの増大を認め,疼痛・嘔気を伴うようになったため手術を施行した. 術中所見は腹壁筋が約8×22cmにわたり断裂し,小児頭大のヘルニア嚢の脱出を認めた.ヘルニア嚢を内翻し,腹膜・腹横筋間にVentrioTM HerniaPat...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 3; pp. 626 - 630 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.76.626 |
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Summary: | 症例は54歳,女性.平成16年に全身性エリテマトーデス(以下SLE)と診断されて以来,副腎皮質ステロイド剤を中心とした治療が継続中であった.平成24年6月中旬より,左側腹部に手拳大の膨隆を自覚し腹部CT検査を施行し,左側腹部の腹壁ヘルニアと診断され当科紹介となった.初診時は腹部症状はなく,ステロイド長期投与による術後合併症のリスクを考慮し経過観察とした.その後,急速にヘルニアの増大を認め,疼痛・嘔気を伴うようになったため手術を施行した. 術中所見は腹壁筋が約8×22cmにわたり断裂し,小児頭大のヘルニア嚢の脱出を認めた.ヘルニア嚢を内翻し,腹膜・腹横筋間にVentrioTM HerniaPatchを固定し修復した.術後経過は良好で術後9日目に退院となった. 今回われわれは,長期間のステロイド投与と腹圧の上昇が主な原因と考えられた腹壁ヘルニアの1例を経験し,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.76.626 |