下水処理水の再利用を目的とした統合的膜処理システムにおけるバイオポリマーの挙動

下水処理水の再利用を目的とした統合的膜処理システムでは精密ろ過膜 (MF膜) - 逆浸透膜 (RO膜) の処理プロセスが用いられるが, RO膜の主なファウラントであるバイオポリマーの挙動は知見が不十分である。4か所の下水処理場からサンプリングした下水処理水を用いた本研究により下記が明らかになった。下水処理水に含まれるバイオポリマーはタンパク質より多糖類が多く, 中でもアルギン酸様多糖類 (ALP) がバイオポリマーの48-64%を占めていた。また, ALPの多く (~70%) はCa2+に対して立体特異性を示さず配位結合能が低いMMブロックであり, Ca2+と安定な配位結合を形成するGGブロッ...

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Published in水環境学会誌 Vol. 45; no. 4; pp. 159 - 169
Main Authors 原田, 美冬, 鈴木, 祐麻, 和田, 善成, 市村, 重俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本水環境学会 2022
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Summary:下水処理水の再利用を目的とした統合的膜処理システムでは精密ろ過膜 (MF膜) - 逆浸透膜 (RO膜) の処理プロセスが用いられるが, RO膜の主なファウラントであるバイオポリマーの挙動は知見が不十分である。4か所の下水処理場からサンプリングした下水処理水を用いた本研究により下記が明らかになった。下水処理水に含まれるバイオポリマーはタンパク質より多糖類が多く, 中でもアルギン酸様多糖類 (ALP) がバイオポリマーの48-64%を占めていた。また, ALPの多く (~70%) はCa2+に対して立体特異性を示さず配位結合能が低いMMブロックであり, Ca2+と安定な配位結合を形成するGGブロックの割合は5.1-6.3%と低かった。その結果, 下水処理水に含まれるバイオポリマーは0.1 μm以上の集合体を形成しておらず, ファウリングしていない0.1 μmのMF膜では除去されなかった。しかし, ファウリングにより透水性が27%低下したMF膜では主に多糖類が除去され, バイオポリマー全体としては62%が除去された。
ISSN:0916-8958
1881-3690
DOI:10.2965/jswe.45.159