[総説]「皮膚保護剤の基礎研究とストーマ・排世リハビリテーション」

皮膚保護剤によりストーマ周囲皮膚管理が大きく進歩発展し、これを起点に失禁装具や創傷ドレッシング材に著しい進歩がもたらされた。R.Turnbull博士がストーマケアにカラヤガムを応用したのは偶然であったがストーマ皮膚障害対策に苦慮し、重要な解決課題となり、カラヤガムの臨床への導入というアイデアは皮膚保護剤を用いた皮膚障害発生を予防するスキンケアへの道を拓くことになった。カラヤガムの特性が如何に優れているかの報告が第12回日本消化器外科学会総会(昭和53年7月)において本邦で初めて発表された。皮膚保護剤のpHが殆ど3.5~ 5.0の間にあり、皮膚表面のpHが5.0ということから化学的中性と生理的中...

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Published in日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 Vol. 29; no. 3; pp. 97 - 102
Main Author 田澤, 賢次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 2013
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Summary:皮膚保護剤によりストーマ周囲皮膚管理が大きく進歩発展し、これを起点に失禁装具や創傷ドレッシング材に著しい進歩がもたらされた。R.Turnbull博士がストーマケアにカラヤガムを応用したのは偶然であったがストーマ皮膚障害対策に苦慮し、重要な解決課題となり、カラヤガムの臨床への導入というアイデアは皮膚保護剤を用いた皮膚障害発生を予防するスキンケアへの道を拓くことになった。カラヤガムの特性が如何に優れているかの報告が第12回日本消化器外科学会総会(昭和53年7月)において本邦で初めて発表された。皮膚保護剤のpHが殆ど3.5~ 5.0の間にあり、皮膚表面のpHが5.0ということから化学的中性と生理的中性が存在することを知ることになり、化学的中性のシリコン皮膚保護剤が臨床から自然淘汰的に消失することの理由が理解できた。ストーマ周囲皮膚管理は予防する時代になって久しいが、ここ30年間のストーマケアを考えた時、皮膚構築に準じた生理的機能と物性的機能の要件を満たす新たなる挑戦を今後の研究に望みたい。
ISSN:1882-0115
2434-3056
DOI:10.32158/jsscr.29.3_97