ホタル生物発光の人工発光系へのモデル化とヒトの生体内精密計測に向けた挑戦 ヒトの1細胞イメージングにむけた挑戦

ホタルといえば,初夏に川辺で光を放って群飛するイメージを日本人は持っているのではないかと拝察する.日本のホタルが清流付近に棲息する理由は,日本のホタル(ゲンジとヘイケ)の幼生期が水棲であり,清流に棲息するカワニナ・タニシなどの淡水系の巻き貝を餌としているからである.またホタル成虫は摂食しなくなり,次の世代へ命を託し一生を終える.ホタルは濁水を好まず清流を飲み,美しく光を放ち無残に散る.この儚く世を全力で生き抜く様が,武士道の精神に通ずるのか,古来より日本人の琴線に触れてきたのであろう.本稿では,ホタルの発光機構が化学反応であること,これを人為制御して,先端生命科学技術へ応用する技術に触れる....

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Published in化学と生物 Vol. 60; no. 2; pp. 72 - 78
Main Authors 仲村, 厚志, 牧, 昌次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 01.02.2022
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Summary:ホタルといえば,初夏に川辺で光を放って群飛するイメージを日本人は持っているのではないかと拝察する.日本のホタルが清流付近に棲息する理由は,日本のホタル(ゲンジとヘイケ)の幼生期が水棲であり,清流に棲息するカワニナ・タニシなどの淡水系の巻き貝を餌としているからである.またホタル成虫は摂食しなくなり,次の世代へ命を託し一生を終える.ホタルは濁水を好まず清流を飲み,美しく光を放ち無残に散る.この儚く世を全力で生き抜く様が,武士道の精神に通ずるのか,古来より日本人の琴線に触れてきたのであろう.本稿では,ホタルの発光機構が化学反応であること,これを人為制御して,先端生命科学技術へ応用する技術に触れる.
ISSN:0453-073X
1883-6852
DOI:10.1271/kagakutoseibutsu.60.72