腎障害者におけるTE-031の薬動力学的研究

新しく開発されたマクロライド系抗生物質であるTE-031は主として腎より排泄されるといわれる。我々は, 腎機能正常者と種々な程度の腎機能障害者の合計20名にTE-031を1回200mg経口投与し, 経時的に血清中, 尿中濃度をbioassay法とHPLC法で測定し, 薬動力学的検討を加えた。 Bioassay法でえられたTE-031の血清中濃度の平均より算出した薬動力学的パラメーターをI群 (Ccr≒100), III群 (Ccr≒30), IV群 (Ccr≒5) で比較すると, Cmaxは2.02, 2.55, 3.54μg/ml, Ke1は0.291, 0.148, 0.113h-1, A...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inCHEMOTHERAPY Vol. 37; no. 1; pp. 15 - 21
Main Authors 茨木, 一夫, 向野, 賢治, 桑原, 健介, 重岡, 秀信, 瀧井, 昌英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1989
Online AccessGet full text
ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.37.15

Cover

Loading…
More Information
Summary:新しく開発されたマクロライド系抗生物質であるTE-031は主として腎より排泄されるといわれる。我々は, 腎機能正常者と種々な程度の腎機能障害者の合計20名にTE-031を1回200mg経口投与し, 経時的に血清中, 尿中濃度をbioassay法とHPLC法で測定し, 薬動力学的検討を加えた。 Bioassay法でえられたTE-031の血清中濃度の平均より算出した薬動力学的パラメーターをI群 (Ccr≒100), III群 (Ccr≒30), IV群 (Ccr≒5) で比較すると, Cmaxは2.02, 2.55, 3.54μg/ml, Ke1は0.291, 0.148, 0.113h-1, AUCは8.89, 18, 73, 36.89μg・h/mlと腎機能の低下にしたがって, Cmax, AUCは増加し, Kelは減少した。また6時間までの尿中排泄率も1群26.5%に対し, III群12.1%, IV群3.3%と減少した。 血清中, 尿中の代謝物は腎障害の程度による差はなく, 主たる代謝物はM-5と考えられた。またM-5の血清中よりの減衰はIV群で著明に延長していた。 CcrとKelおよびbody clearance間には正の, AUC間には負の相関がえられ, Kel=0.0991+0.0017・Ccrという一次回帰式がえられた。これは本剤の主たる排泄経路が腎であることを強く示唆した。 上式より, 腎障害者におけるTE-031の用法, 用量についても考察した。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.37.15