尿毒症性細小動脈石灰化症(カルシフィラキシス)の難治性皮膚潰瘍部疼痛に対して,ブプレノルフィンによる鎮痛が奏功した1例

【目的】主として透析療法中の末期腎不全患者における尿毒症性細小動脈石灰化症 (カルシフィラキシス)の発症頻度は低く,その発症機序や治療についての知見はまだ確立していない.また皮膚潰瘍部の極めて強い疼痛に対する標準的な治療方法も確立されておらず,鎮痛に難渋することも多い.今回,われわれは有痛性潰瘍の鎮痛にブプレノルフィンが著効した症例を経験したため報告する.【症例】75歳,男性.両下腿に強固な有痛性皮膚潰瘍を発症し入院した.非ステロイド性解熱鎮痛薬と持続的左大腿神経ブロックによっても改善しなかった疼痛に対して,慎重にオピオイドの適応を検討し,そのうえでブプレノルフィンを使用したところ,疼痛が著明...

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Published inPalliative Care Research Vol. 13; no. 1; pp. 63 - 68
Main Authors 野池, 輝匡, 菊池, 二郎, 柳田, 卓也, 関, 浩道, 塩原, 麻衣, 三浦, 篤史, 髙木, 洋明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2018
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Summary:【目的】主として透析療法中の末期腎不全患者における尿毒症性細小動脈石灰化症 (カルシフィラキシス)の発症頻度は低く,その発症機序や治療についての知見はまだ確立していない.また皮膚潰瘍部の極めて強い疼痛に対する標準的な治療方法も確立されておらず,鎮痛に難渋することも多い.今回,われわれは有痛性潰瘍の鎮痛にブプレノルフィンが著効した症例を経験したため報告する.【症例】75歳,男性.両下腿に強固な有痛性皮膚潰瘍を発症し入院した.非ステロイド性解熱鎮痛薬と持続的左大腿神経ブロックによっても改善しなかった疼痛に対して,慎重にオピオイドの適応を検討し,そのうえでブプレノルフィンを使用したところ,疼痛が著明に改善した.【結論】透析療法中の患者にも投与可能なオピオイドの一つであるブプレノルフィンが,尿毒症性細小動脈石灰化症による下肢皮膚潰瘍の難治性疼痛に対して有効であった1例を報告した.
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.13.63