健診(検診)施設における遺伝性腫瘍に対する取り組み

ゲノム医療の時代となり,健診(検診)機関においても遺伝情報を適切かつ有効に活用する必要がある.千葉県と連携して多数の健診(検診)を担う公益財団法人ちば県民保健予防財団(以下,当施設)では,2015年10月に遺伝子診療科(遺伝カウンセリング外来)を開設し,遺伝性腫瘍とその家系を見出すことに取り組んでいる.当施設の乳がん検診受診者および消化管内視鏡検査受診者を対象としたがんの家族歴の問診票による調査,近隣の医療機関から紹介された症例の受け入れ等を通して,2020年9月末時点で遺伝学的検査により確認されたリンチ症候群5名,遺伝性乳がん卵巣がん症候群 (hereditary breast and ov...

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Published in遺伝性腫瘍 Vol. 21; no. 2; pp. 58 - 63
Main Authors 藤澤, 武彦, 渡邉, 綾子, 橋本, 秀行, 北橋, 菜那, 野村, 文夫, 稲田, 麻里, 齋藤, 智子, 山口, 和也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会 31.08.2021
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ISSN2435-6808
DOI10.18976/jsht.21.2_58

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Summary:ゲノム医療の時代となり,健診(検診)機関においても遺伝情報を適切かつ有効に活用する必要がある.千葉県と連携して多数の健診(検診)を担う公益財団法人ちば県民保健予防財団(以下,当施設)では,2015年10月に遺伝子診療科(遺伝カウンセリング外来)を開設し,遺伝性腫瘍とその家系を見出すことに取り組んでいる.当施設の乳がん検診受診者および消化管内視鏡検査受診者を対象としたがんの家族歴の問診票による調査,近隣の医療機関から紹介された症例の受け入れ等を通して,2020年9月末時点で遺伝学的検査により確認されたリンチ症候群5名,遺伝性乳がん卵巣がん症候群 (hereditary breast and ovarian cancer syndrome;HBOC)4名を見出している.多臓器にわたるがんのスクリーニングを効率よく実施できる健診機関の特性を活かし,当施設では未発症血縁者の遺伝学的リスクも評価したうえでのがんのサーベイランスを行っている.今後も遺伝カウンセリングを適切に実施しながら,検診受診者の遺伝学的リスクに応じた“個別化がん検診”を追求していきたいと考えている.
ISSN:2435-6808
DOI:10.18976/jsht.21.2_58