タラノキ(Aralia elata Seemann)培養体由来根組織からの不定芽,不定胚形成および植物体再生

タラノキ(Aralia elata Seemann)において安定した不定胚経由の植物体再生系を確立するため,in vitro幼植物体由来根組織切片からのカルス,不定芽および不定胚形成に及ぼす2,4-Dの影響について検討した.MS培地を基本とし,2,4-Dを添加した培地に根組織切片を外植体として置床した.25 ℃,暗黒下で30日間培養後,形成したカルスを2,4-Dフリー培地に移植し,その後は3,000 lx,16時間日長下で継代培養し,以下の結果が得られた. 1.外植体からのカルス形成は,2,4-Dを0.05 mg/l以上添加した区で80 %以上,カルスからの不定胚形成は0.5 mg/l以上添加...

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Published in園芸学研究 Vol. 3; no. 4; pp. 355 - 360
Main Authors 細木, 高志, 古谷, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2004
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ISSN1347-2658
1880-3571
DOI10.2503/hrj.3.355

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Summary:タラノキ(Aralia elata Seemann)において安定した不定胚経由の植物体再生系を確立するため,in vitro幼植物体由来根組織切片からのカルス,不定芽および不定胚形成に及ぼす2,4-Dの影響について検討した.MS培地を基本とし,2,4-Dを添加した培地に根組織切片を外植体として置床した.25 ℃,暗黒下で30日間培養後,形成したカルスを2,4-Dフリー培地に移植し,その後は3,000 lx,16時間日長下で継代培養し,以下の結果が得られた. 1.外植体からのカルス形成は,2,4-Dを0.05 mg/l以上添加した区で80 %以上,カルスからの不定胚形成は0.5 mg/l以上添加した区で45~100 %認められた. 2.高率に不定胚を誘導するためには,外植体の2,4-D添加培地での培養期間は25日間以上必要であった. 3.形成したカルスを,2,4-Dフリー培地に移植して20~30日間隔で継代培養を行うと,不定芽および不定胚が形成され,多数の再生植物が得られた. 4.2,4-Dフリー培地で継代培養後に誘導したECを,2,4-D 0.01~0.05 mg/l添加培地に移植すると幼植物体に発育するとともにその表面に不定胚が形成され,幼植物体は増加した. 5.再生した幼植物体は,バーミキュライトで順化後,花崗岩風化土壌とパーク堆肥混合用土に鉢上げすると,45日後には圃場へ定植可能な苗木となった.
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.3.355