国立感染症研究所構内に設置されたドライアイストラップによる疾病媒介蚊のサーベイランス結果(2003年~2013年)

2003年5月から2013年12月まで週1回,国立感染症研究所構内にドライアイストラップを設置して,疾病媒介蚊のサーベイランスを行った.トラップは地面から7.5 mの高さにある樹冠部と地上(1.5 m)の2ヶ所に設置し,24時間継続採集を行った.これまでに3属,7種類,10,546個体の蚊成虫が捕獲され,ヒトスジシマカとアカイエカ群が全体の99.7%を占めていた.3番目に多く採集されたコガタアカイエカは初春に6個体,晩夏から秋に12個体が採集された.アカイエカ群は樹上のトラップでの採集数の方が地上のトラップよりも多く,これに対してヒトスジシマカは樹上では1~15%しか採集されておらず,探索行動...

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Published in衛生動物 Vol. 65; no. 3; pp. 131 - 137
Main Authors 林, 利彦, 津田, 良夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本衛生動物学会 2014
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.65.131

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Summary:2003年5月から2013年12月まで週1回,国立感染症研究所構内にドライアイストラップを設置して,疾病媒介蚊のサーベイランスを行った.トラップは地面から7.5 mの高さにある樹冠部と地上(1.5 m)の2ヶ所に設置し,24時間継続採集を行った.これまでに3属,7種類,10,546個体の蚊成虫が捕獲され,ヒトスジシマカとアカイエカ群が全体の99.7%を占めていた.3番目に多く採集されたコガタアカイエカは初春に6個体,晩夏から秋に12個体が採集された.アカイエカ群は樹上のトラップでの採集数の方が地上のトラップよりも多く,これに対してヒトスジシマカは樹上では1~15%しか採集されておらず,探索行動の違いが示唆された.アカイエカ群の雌成虫密度は6月上旬から8月上旬に高く,この時期のアカイエカ群に関連したリスクが高いと予想された.また,ヒトスジシマカの雌成虫密度は7月中旬から10月中旬に高く,この時期にヒトスジシマカによって媒介される病原体の流行リスクが高いと考えられた.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.65.131