石西礁湖周辺における遺伝的に異なる2タイプのアオサンゴHeliopora coerulea(Pallas, 1766)の生殖時期推定
アオサンゴHeliopora coerulea(Pallas, 1766)には,遺伝的に異なる2系統(A,B)が見つかっているが,その生態学的な違いは不明であった。そこで本研究では,遺伝的な分化の原因として,生殖時期に違いがあるかどうかを確認するため,石西礁湖周辺で同所的に生息する2タイプの生殖時期の推定を行った。2014年6月から2017年9月にかけて計468群体を採集し,野外観察と組織観察を行った。Bでは7月中旬から下旬にかけて幼生保育が観察された。組織観察では,Aは5月から6月にかけて,Bは6月から7月にかけて卵母細胞および精巣のサイズが最大となり,その後消失ないし縮小した。このことから...
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Published in | 日本サンゴ礁学会誌 Vol. 20; no. 1; pp. 39 - 51 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本サンゴ礁学会
2018
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Subjects | |
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Summary: | アオサンゴHeliopora coerulea(Pallas, 1766)には,遺伝的に異なる2系統(A,B)が見つかっているが,その生態学的な違いは不明であった。そこで本研究では,遺伝的な分化の原因として,生殖時期に違いがあるかどうかを確認するため,石西礁湖周辺で同所的に生息する2タイプの生殖時期の推定を行った。2014年6月から2017年9月にかけて計468群体を採集し,野外観察と組織観察を行った。Bでは7月中旬から下旬にかけて幼生保育が観察された。組織観察では,Aは5月から6月にかけて,Bは6月から7月にかけて卵母細胞および精巣のサイズが最大となり,その後消失ないし縮小した。このことから,Aは6月中旬から6月下旬にかけて,Bでは7月中旬から7月下旬にかけて放精および幼生保育・放出が起きる生殖時期であることがわかった。同一環境下でも両タイプの生殖時期が異なることから,アオサンゴの遺伝的・内因的な要因が生殖時期の違いに寄与していると考えられた。 |
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ISSN: | 1345-1421 1882-5710 |
DOI: | 10.3755/jcrs.20.39 |