福井県の子宮頚がん車集団検診の前期(1974~1983年)および後期(1984~1993年)の成績評価

目的 福井県の子宮頚がん車集検における1974年からの20年間を,前期(1974~1983年)と後期(1984~1993年)に分けて検討し,集団検診の受診率の変化によるがん発見率の変化,若年者の異形成およびがんの増減傾向,高齢者の受診率の推移などを明らかにし,今後の課題などを検討する事を目的とした。 対象および方法 検診対象は,本県内の市町村および保健所が募集した女性である。検診方法は検診車による集団検診方式で,スクリーニング検査法は子宮頚部の視診および擦過細胞診である。要精検者には施設において二次検診として組織検査などを行った。 結果および考察 1) 受診者数は後期は前期に比べて約 6 割の...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 50; no. 7; pp. 594 - 604
Main Authors 正通, 寛治, 松井, 利夫, 飯田, 和質, 森下, 陽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2003
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.50.7_594

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Summary:目的 福井県の子宮頚がん車集検における1974年からの20年間を,前期(1974~1983年)と後期(1984~1993年)に分けて検討し,集団検診の受診率の変化によるがん発見率の変化,若年者の異形成およびがんの増減傾向,高齢者の受診率の推移などを明らかにし,今後の課題などを検討する事を目的とした。 対象および方法 検診対象は,本県内の市町村および保健所が募集した女性である。検診方法は検診車による集団検診方式で,スクリーニング検査法は子宮頚部の視診および擦過細胞診である。要精検者には施設において二次検診として組織検査などを行った。 結果および考察 1) 受診者数は後期は前期に比べて約 6 割の増加がみられたが,1988年以降の数年間は横這い傾向となっていた。  2) 異形成の発見率は,前期0.19%,後期0.27%で約 4 割の増加であった。  3) がんの発見率は,前期0.18%,後期0.1%となり前期で高く後期に半減していた。  4) 年齢階層別の細胞診成績をみると,IIIa 以上の細胞診で前期は年齢と共に発見頻度が高くなり,後期は横這いの傾向がみられた。  5) 細胞診分類と二次検診結果(組織型)のクロス集計では,細胞診IIIa に占める二次検診結果のうち異形成の割合,また細胞診IIIb に占める二次検診結果のうち上皮内がんの割合が前期より後期に高かった。  6) 年齢階層別の組織型別発見率では,前期では,20歳代から60歳代にかけて加齢とともに異形成,上皮内がん,浸潤がんとも発見率が上昇していた。一方,後期では異形成発見率は20,30,40歳代に多く,がん発見率は20,70歳代に高く,他は減少していた。  7) がん発見までの受診回数を検討すると,前期は,浸潤がんの96%および上皮内がんの86%は初回受診者であった。後期では,上皮内がんおよび浸潤がんの50~57%が初回受診者であった。  8) 受診者の年齢層別構成割合では20歳代で0.6%,30~34歳で6.2%であったが,初回受診者では20歳代で65.5%および30~34歳で48.6%と高かった。  9) 保健所別の子宮頚がん発見成績では,福井0.13%,金津0.11%,奥越0.09%,丹南1.11%,嶺南0.04%であった。  以上より後期が前期よりがん発見率が低下していたが,後期に若年層に異形成およびがんの増加傾向が認められた。若年者の受診参加を啓発するとともに,初回受診者の増加を促進し,検診受診者の継続受診を奨励することが,受診者数の増加となると考える。また,精度管理の上から異形成の追跡検診を充実させることが重要である。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.50.7_594