官能評価による特別用途食品えん下困難者用食品許可基準(案)の検証

【目的】2008年に発表された特別用途食品えん下困難者用食品許可基準(案)の各段階の物性範囲が妥当であるか否かを,官能評価により検証を行った.【方法】嚥下障害者の訓練開始に適するとされるゼリーを試料とし,嚥下障害者と1 年以上関わりのある医療関係者52 名で官能評価を行った.各パネルに試料を8 種類提示し,あらかじめ示した許可基準Ⅰ~Ⅲの嚥下障害の程度・摂取できる物性の範囲を参考に,どの段階の食事としてふさわしいか,またはいずれの段階にもふさわしくないかを評価させた.最も多くの回答が得られた段階を,その試料の適切な段階として評価した.また,官能評価に使用した試料の物性値を測定し,あわせて離水の...

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Published in日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 14; no. 1; pp. 17 - 26
Main Authors 栢下, 淳, 柴本, 勇, 藤谷, 順子, 山縣, 誉志江, 河原, 和枝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 30.04.2010
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ISSN1343-8441
2434-2254
DOI10.32136/jsdr.14.1_17

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Summary:【目的】2008年に発表された特別用途食品えん下困難者用食品許可基準(案)の各段階の物性範囲が妥当であるか否かを,官能評価により検証を行った.【方法】嚥下障害者の訓練開始に適するとされるゼリーを試料とし,嚥下障害者と1 年以上関わりのある医療関係者52 名で官能評価を行った.各パネルに試料を8 種類提示し,あらかじめ示した許可基準Ⅰ~Ⅲの嚥下障害の程度・摂取できる物性の範囲を参考に,どの段階の食事としてふさわしいか,またはいずれの段階にもふさわしくないかを評価させた.最も多くの回答が得られた段階を,その試料の適切な段階として評価した.また,官能評価に使用した試料の物性値を測定し,あわせて離水の測定も行った.【結果】個々の試料の物性値と,官能評価で適切と評価された許可基準(案)の段階の物性範囲を比較すると,許可基準Ⅰの硬さの範囲の下限値および許可基準Ⅰ・Ⅱの付着性の範囲の下限値を下回る試料,許可基準Ⅱの硬さの範囲の上限値を上回る試料が存在することがわかった.また,基準外であると評価された試料のすべてで,「離水がある」または「口腔内で液体になる」との意見が多かった.【結論】官能評価の結果より,許可基準Ⅰの硬さの範囲の下限値を2.5×103 N/m2 に引き下げること,許可基準Ⅱの硬さの範囲の上限値を15×103 N/m2 に引き上げること,すべての段階の付着性の範囲の下限値をなくすことが必要であると考えられた.今後,嚥下障害食として適するか否かを判断するためには,離水の測定方法の確立と,その結果を考慮する必要があると考えられた.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.14.1_17