巨大前交通動脈瘤の根治手術治験例

巨大脳動脈瘤に対する直接手術はmicrosurgical techniqueの発達した今日においても, 手術成績はおもわしくない. それは動脈瘤自身による術野の妨害, 流入流出動脈の剥離, 露出の困難性, 柄部処置による親動脈のkinkingなどがあげられ, carotid ligationや保存的療法を余儀なくさせられる場合が多い. しかしこのような治療を行つた場合, 巨大脳動脈瘤としてのmass signの改善は当然期待できず, 時として術後に動脈瘤の増大をみたり, 再出血したり, 結紮側と反対側に高率に動脈瘤が発生するなどの報告もみられ, また当然のことながら術後の血栓形成, 脳乏血など...

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Published in医療 Vol. 34; no. 11; pp. 1021 - 1026
Main Authors 小川, 彰, 鈴木, 二郎, 和田, 徳男, 小松, 伸郎, 佐藤, 智彦, 桜井, 芳明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 01.11.1980
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.34.1021

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Summary:巨大脳動脈瘤に対する直接手術はmicrosurgical techniqueの発達した今日においても, 手術成績はおもわしくない. それは動脈瘤自身による術野の妨害, 流入流出動脈の剥離, 露出の困難性, 柄部処置による親動脈のkinkingなどがあげられ, carotid ligationや保存的療法を余儀なくさせられる場合が多い. しかしこのような治療を行つた場合, 巨大脳動脈瘤としてのmass signの改善は当然期待できず, 時として術後に動脈瘤の増大をみたり, 再出血したり, 結紮側と反対側に高率に動脈瘤が発生するなどの報告もみられ, また当然のことながら術後の血栓形成, 脳乏血などの合併症を生じる危険性もあり, 多くの問題をかかえている. 今回, 我々は40×40×35cmにも及ぶ巨大前交通動脈瘤に対して20%マニトールによる脳血流遮断時間延長法を用いて, その根治手術に成功したので, その手術手技と巨大動脈瘤に対する直接手術に関して報告した.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.34.1021