V.大腸早期癌に対する外科的切除の術式

大腸早期癌に対する手術術式には,病変部のみを切除する局所切除術と,所属リンパ節郭清を伴う腸切除術がある.局所切除術は内視鏡切除と同様に病変全体を切除して組織学的検索を行うことが本来の目的で,リンパ節転移の可能性がある病変であることが判明すると腸切除術の追加が必要になる.直腸癌に対する局所切除術には種々の術式があり,各術式の特性を熟知したうえで選択すべきである.腸切除術では進行癌に対する手術に準じた術式が施行されるが,直腸切除術では術後QOLの点から,骨盤自律神経の完全温存が原則であり,永久的人工肛門の回避が望ましく,intersphincteric resectionや直腸反転法が用いられてい...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 65; no. 10; pp. 821 - 826
Main Authors 鮫島, 伸一, 吉羽, 秀麿, 大矢, 雅敏, 竹下, 恵美子, 奥山, 隆, 菅又, 嘉剛, 多賀谷, 信美, 纐纈, 真一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2012
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.65.821

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Summary:大腸早期癌に対する手術術式には,病変部のみを切除する局所切除術と,所属リンパ節郭清を伴う腸切除術がある.局所切除術は内視鏡切除と同様に病変全体を切除して組織学的検索を行うことが本来の目的で,リンパ節転移の可能性がある病変であることが判明すると腸切除術の追加が必要になる.直腸癌に対する局所切除術には種々の術式があり,各術式の特性を熟知したうえで選択すべきである.腸切除術では進行癌に対する手術に準じた術式が施行されるが,直腸切除術では術後QOLの点から,骨盤自律神経の完全温存が原則であり,永久的人工肛門の回避が望ましく,intersphincteric resectionや直腸反転法が用いられている.結腸早期癌は腹腔鏡手術の良い適応とされているが,直腸早期癌に対する腹腔鏡手術は現時点では有効性・安全性が確立されていない.しかし,腹腔鏡手術の良好な拡大視野は直腸癌手術でより一層活用される可能性が高い.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.65.821