銅イオンの暴露を受けたハマダラカ幼虫はメダカに捕食されやすい:低濃度の銅を利用し蚊幼虫を制御する新たな提案

蚊幼虫の生物学的制御のため蚊幼虫捕食性の魚を導入する方法はこれまでも実施されてきた.我々は低濃度の銅を蚊幼虫に作用させると,魚に捕食され易いことを見いだしている.メダカ(Oryzias latipes)は日本国産であるがその近縁種は世界各国に棲息している.我々は,ハマダラカ幼虫の生存能力を低下させるものの,メダカの生存には影響のない銅濃度を検討した.銅濃度0.26 ppm に暴露すると,ハマダラカ幼虫は潜水能力が減少しメダカに容易に捕食されるが,メダカはこの濃度において健常に生存できることを確かめた.このことから我々は,蚊幼虫捕食性の魚を導入することに加え,蚊幼虫の棲息する限られた場所に低濃度...

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Published in衛生動物 Vol. 64; no. 2; pp. 67 - 71
Main Authors 松岡, 裕之, 山本, 大介
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本衛生動物学会 2013
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.64.67

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Summary:蚊幼虫の生物学的制御のため蚊幼虫捕食性の魚を導入する方法はこれまでも実施されてきた.我々は低濃度の銅を蚊幼虫に作用させると,魚に捕食され易いことを見いだしている.メダカ(Oryzias latipes)は日本国産であるがその近縁種は世界各国に棲息している.我々は,ハマダラカ幼虫の生存能力を低下させるものの,メダカの生存には影響のない銅濃度を検討した.銅濃度0.26 ppm に暴露すると,ハマダラカ幼虫は潜水能力が減少しメダカに容易に捕食されるが,メダカはこの濃度において健常に生存できることを確かめた.このことから我々は,蚊幼虫捕食性の魚を導入することに加え,蚊幼虫の棲息する限られた場所に低濃度の銅イオンを散布することが有用であると考えている.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.64.67