ビワ[Eriobotrya japonica(Thunb.)Lindl.]の新規自家不和合性遺伝子(S-RNase遺伝子)の同定および遺伝資源のSハプロタイプ推定

ビワのSハプロタイプをシークエンサーを用いて,効率的に推定する方法について検討を行った.その結果,その有用性を確認するとともに,10の異なるバンドサイズを確認することができた.そのうち5つについては,既報のビワS-RNase遺伝子と塩基配列および推定アミノ酸配列において100%の相同性を示したが,残り5つは,既報のビワS-RNase遺伝子と異なる配列を示す一方で,推定アミノ酸配列において,ビワと同じバラ科ナシ亜科に属するリンゴおよびセイヨウナシのS-RNaseと高い相同性を示した.また,いずれの配列についても,システインおよびヒスチジン残基が保存されており,今回新たに確認された5つのバンドにつ...

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Published in園芸学研究 Vol. 13; no. 1; pp. 11 - 17
Main Authors 石本, 慶一郎, 福田, 伸二, 中山, 久之, 稗圃, 直史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2014
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Summary:ビワのSハプロタイプをシークエンサーを用いて,効率的に推定する方法について検討を行った.その結果,その有用性を確認するとともに,10の異なるバンドサイズを確認することができた.そのうち5つについては,既報のビワS-RNase遺伝子と塩基配列および推定アミノ酸配列において100%の相同性を示したが,残り5つは,既報のビワS-RNase遺伝子と異なる配列を示す一方で,推定アミノ酸配列において,ビワと同じバラ科ナシ亜科に属するリンゴおよびセイヨウナシのS-RNaseと高い相同性を示した.また,いずれの配列についても,システインおよびヒスチジン残基が保存されており,今回新たに確認された5つのバンドについては,新規のビワS-RNase遺伝子である可能性が高いと考えられた.これらの結果に基づき,国内外145品種・系統のビワについてSハプロタイプの推定を行ったところ,25タイプに分けることができ,‘茂木’,‘田中’および‘長崎早生’など日本における主要な栽培品種は自家和合性であることが遺伝子レベルでも確認された.また,41品種・系統は自家不和合性であると推定された.
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.13.11