5.日常臨床下におけるダビガトラン既存用量使用困難例の割合とその特徴―多施設心房細動レジストリー(STACIN研究より)

【目的】本邦の日常臨床下におけるダビガトラン既存用量使用困難例の割合とその特徴を検討する.【対象と方法】対象は,多施設心房細動レジストリー(6施設による多施設観察研究)に登録された心房細動症例618症例(平均年齢71±10歳,男性429名)とした.ダビガトラン服用時の減量因子とされる(1)70歳以上,(2)クレアチニンクリアランス(Ccr)≦50ml/分,(3)P糖蛋白阻害薬(ベラパミル・アミオダロン)の内服,に関して症例ごとにカウントし,減量因子の個数を算出した.減量因子がない症例を300mg/日群(通常用量群),減量因子がひとつであった症例を220mg/日群(低用量群),減量因子がふたつ以...

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Published in心電図 Vol. 33; no. 1; pp. 59 - 64
Main Authors 奥山, 裕司, 南都, 伸介, 南口, 仁, 南野, 哲男, 増田, 正晴, 北風, 政史, 是恒, 之宏, 日吉, 康長, 山田, 貴久, 長谷川, 新治, 小室, 一成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2013
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Summary:【目的】本邦の日常臨床下におけるダビガトラン既存用量使用困難例の割合とその特徴を検討する.【対象と方法】対象は,多施設心房細動レジストリー(6施設による多施設観察研究)に登録された心房細動症例618症例(平均年齢71±10歳,男性429名)とした.ダビガトラン服用時の減量因子とされる(1)70歳以上,(2)クレアチニンクリアランス(Ccr)≦50ml/分,(3)P糖蛋白阻害薬(ベラパミル・アミオダロン)の内服,に関して症例ごとにカウントし,減量因子の個数を算出した.減量因子がない症例を300mg/日群(通常用量群),減量因子がひとつであった症例を220mg/日群(低用量群),減量因子がふたつ以上あった症例をダビガトラン既存用量使用困難群と定義した.【結果】70歳以上の症例は347例(56%),Ccrが50ml/分以下の症例は146例(24%),P糖蛋白阻害薬(ベラパミル・アミオダロン)を併用している症例は147例(24%)であった.検討した減量因子数に基づくと,300mg/日群は33%,220mg/日群は37%,既存用量使用困難群は30%であった.既存用量使用困難群は,既存用量使用可能群(220mgまたは300mg/日)と比べて有意にCHADS2スコアが高かった(2.5±1.2 vs. 2.1±1.1 ; p<0.0001).【結語】本多施設心房細動レジストリー患者群において,ダビガトラン既存用量使用困難例は30%存在することが明らかとなった.なかでも,脳梗塞のリスクが高いとされるCHADS2スコア高リスク群においては過剰投与となるリスクも高く,注意が必要である.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.33.59