南九州において発生した豚流行性下痢(PED)に伴う経済損失の評価

日本では,豚流行性下痢(PED)の発生が2013年10月に7年ぶりに発生し,宮崎県および鹿児島県に伝播した。本研究では,2013年から2014年に同地域において発生したPEDに伴う経済損失を推定することを目的とした。宮崎県(506農場)および鹿児島県(709農場)に所在する全ての養豚生産農場に関するデータセットを収集し,症例対照研究として,PED発生農場およびPED非発生農場において同数の農場を対象としたアンケート調査を実施した。アンケート調査では,PED発生に伴う経済損失やコストの増加に関する調査を実施した。PED発生250農場の内,185農場が一貫および繁殖農場であり,これらの農場における...

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Published in獣医疫学雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 53 - 62
Main Authors 佐々木, 羊介, 関口, 敏, 豊巻, 治也, 蒔田, 浩平, 末吉, 益雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 獣医疫学会 20.07.2019
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Summary:日本では,豚流行性下痢(PED)の発生が2013年10月に7年ぶりに発生し,宮崎県および鹿児島県に伝播した。本研究では,2013年から2014年に同地域において発生したPEDに伴う経済損失を推定することを目的とした。宮崎県(506農場)および鹿児島県(709農場)に所在する全ての養豚生産農場に関するデータセットを収集し,症例対照研究として,PED発生農場およびPED非発生農場において同数の農場を対象としたアンケート調査を実施した。アンケート調査では,PED発生に伴う経済損失やコストの増加に関する調査を実施した。PED発生250農場の内,185農場が一貫および繁殖農場であり,これらの農場における哺乳子豚の死亡頭数は93,650頭であった。哺乳子豚の死亡に伴う経済損失は33,911万円であった。PED発生に伴う防疫体制の強化によって増加したコストは一農場当たり16から259万円であった。また,PED発生後に新規で摂取を開始したPEDワクチンに伴うコストは 一農場当たり0.4から29万円であった。本研究では,PED発生に伴う経済損失の総額は約12億円と推定された。
ISSN:1343-2583
1881-2562
DOI:10.2743/jve.23.53