無形資産投資のための資金調達手段の研究

企業の競争力の源泉が有形資産から無形資産へと移行する中,不確実性の高い無形資産投資における資金調達の重要性が増している.本研究は,無形資産投資により企業価値を大きく向上させたネットフリックス(Netflix)を対象に,その調達手段として社債発行を選択した意思決定についてケーススタディ・アプローチから分析を行った.財務破綻リスクと節税効果のトレードオフ並びに,経営者・投資家間での情報の非対称性の観点から,意思決定についての2つの仮説を立て検証した結果,何れも成立していることが確認された.本検証結果は,無形資産投資を実現する為の資金調達手段の選択が伝統的なファイナンス理論に則っていることを示すと同...

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Published inグロービス経営大学院紀要 Vol. 3; pp. 45 - 63
Main Authors 川上, 裕義, 小保方, 直行, 梅津, 沙織, 小林, 匠, 正田, 省二, 植田, 恭輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 グロービス経営大学院大学 31.10.2024
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ISSN2758-4046
DOI10.57433/globis.3.0_45

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Summary:企業の競争力の源泉が有形資産から無形資産へと移行する中,不確実性の高い無形資産投資における資金調達の重要性が増している.本研究は,無形資産投資により企業価値を大きく向上させたネットフリックス(Netflix)を対象に,その調達手段として社債発行を選択した意思決定についてケーススタディ・アプローチから分析を行った.財務破綻リスクと節税効果のトレードオフ並びに,経営者・投資家間での情報の非対称性の観点から,意思決定についての2つの仮説を立て検証した結果,何れも成立していることが確認された.本検証結果は,無形資産投資を実現する為の資金調達手段の選択が伝統的なファイナンス理論に則っていることを示すと同時に,これらの理論についての経営者の理解と,投資家とのコミュニケーションが重要であることを明らかにしたものである.
ISSN:2758-4046
DOI:10.57433/globis.3.0_45