香川県における水稲品種ヒノヒカリの節水栽培

2012年から2014年までの3年間,香川県高松市の農家水田において水稲品種ヒノヒカリを供試し,幼穂分化期前の潅水停止による節水栽培が生育,収量,品質,食味に及ぼす影響を調査した.節水処理区における潅水停止期間は,2012年は22日間,2013年と2014年は30日間であり,節水率はそれぞれ20.7%,27.4%,24.3%であった.節水処理区の収量は,対照区(湛水栽培区)に比べて,2012年では5%程度の減少にとどまったが,2013年と2014年では25%前後減少した.2013年と2014年の節水処理区での減収原因は,潅水停止に伴う茎数の増加抑制による穂数の減少にあった.また,外観品質および...

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Published in日本作物学会紀事 Vol. 85; no. 1; pp. 59 - 66
Main Authors 崔, 中秋, 楠谷, 彰人, 豊田, 正範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 2015
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.85.59

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Summary:2012年から2014年までの3年間,香川県高松市の農家水田において水稲品種ヒノヒカリを供試し,幼穂分化期前の潅水停止による節水栽培が生育,収量,品質,食味に及ぼす影響を調査した.節水処理区における潅水停止期間は,2012年は22日間,2013年と2014年は30日間であり,節水率はそれぞれ20.7%,27.4%,24.3%であった.節水処理区の収量は,対照区(湛水栽培区)に比べて,2012年では5%程度の減少にとどまったが,2013年と2014年では25%前後減少した.2013年と2014年の節水処理区での減収原因は,潅水停止に伴う茎数の増加抑制による穂数の減少にあった.また,外観品質および食味に関しては,処理区間に有意差は認められなかったものの,節水栽培によって品質,理化学的食味特性および官能試験による食味評価が向上する傾向がみられた.これらより,幼穂分化期前の潅水停止による節水栽培では,22日間位の潅水停止(節水率20%程度)が限度であり,それ以上の潅水停止では大幅に減収すると考えられた.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.85.59