亀岡盆地の水田に同所的に生息するカエル5種の食性の季節変化と種間比較
環境省レッドリストIB(EN)のナゴヤダルマガエルをはじめ,ヒガシニホンアマガエル,トノサマガエル,ツチガエル,ヌマガエルの5種が同所的に生息しているという水田環境において,多種が共存する条件での食性の詳細を報告する.2010年4月–11月の調査でヒガシニホンアマガエル36,ヌマガエル172,ツチガエル36,トノサマガエル98,ナゴヤダルマガエル136の計478個体を捕獲し,成体/幼体の別,性別,口幅,体重を測定した.その結果,7月下旬の水田の中干しの前後で,採集された個体のサイズが成体クラスから幼体クラス中心へと移行していた.胃内容物として3770個体,総体積158077mm3,総湿重量36...
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Published in | 伊豆沼・内沼研究報告 Vol. 19; pp. 85 - 99 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
2025
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Subjects | |
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ISSN | 1881-9559 2424-2101 |
DOI | 10.20745/izu.19.0_85 |
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Summary: | 環境省レッドリストIB(EN)のナゴヤダルマガエルをはじめ,ヒガシニホンアマガエル,トノサマガエル,ツチガエル,ヌマガエルの5種が同所的に生息しているという水田環境において,多種が共存する条件での食性の詳細を報告する.2010年4月–11月の調査でヒガシニホンアマガエル36,ヌマガエル172,ツチガエル36,トノサマガエル98,ナゴヤダルマガエル136の計478個体を捕獲し,成体/幼体の別,性別,口幅,体重を測定した.その結果,7月下旬の水田の中干しの前後で,採集された個体のサイズが成体クラスから幼体クラス中心へと移行していた.胃内容物として3770個体,総体積158077mm3,総湿重量367.3gの餌動物が検出された.胃内容物がない「空胃」の個体も含まれた(種ごとの空胃率0.055–0.58).胃内容物の個体数ではカメムシ目,ハチ目,トビムシ目が卓越し,体積ではコウチュウ目,ハサミムシ目,ハエ目,チョウ目が卓越していた.胃内容物についてSCI(胃内容物重量指数),IRI(相対重要度指数)を検討した結果,先行研究とおおよそ合致する結果が得られたが,ナゴヤダルマガエルやヌマガエルにおいて,秋季にトビムシ目を捕食する傾向が顕著であった点は特筆に値する.調査地では,本調査の後に農地基盤整備事業により環境改変がなされたため,希少な5種共存については最後の記録になるかもしれない. |
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ISSN: | 1881-9559 2424-2101 |
DOI: | 10.20745/izu.19.0_85 |